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2017年3月 7日 (火)

なぜ向上を夢見て練習するのか

Tromboneという楽器を始めて40年が経ちました。
音楽は狂おしいほどに好きだけれども、もちろんプロになれる能力はなく、何とか縋りつこうという執念もなかった私です。アマチュアとして単純に吹奏楽コンクールで良い成績を収めたいなどと活動しているなんてこともなく…なのに何故毎日練習しなきゃ、少しでも上手くなりたい-なんて思ってしまうのでしょうか。
それこそ週末だけの練習でも所属する楽団への責任は果たし、それなりに楽しく過ごせるはずなのに。



立て続いていた演奏会本番が段落し、久しぶりに”心穏やかな”日曜日が訪れました。もちろんTromboneの練習にも行ったのですが、自宅ではYouTubeでJazz Tromboneの名演を楽しんだ一日でした。
いやー、改めて本当に巧いまた凄いプレイヤーは世界はもちろん、日本にもずいぶんいらっしゃるものです。その中には私の心に深く刻まれる演奏も多々ありました。
(ただ、”プレイヤーとして私より上手”ということのみで感心したり心動かされることはもちろんありません。聴き手としては”音楽”としての価値を見極めています。また、年齢を重ねるごとに、概して云えば音色に美しさを感じない演奏には(Tromboneに限らず)魅力を感じなくなってきているのが顕著です。)

私がたとえ10代の頃から全てをTromboneに振り向けていたとて、クラシック界の方々も含め、そうした素晴らしいプレイヤーの足許にすら及ぶことはありません。ましてや50歳もとっくに過ぎた今から、なす術などないのです。幾らムキになってやっても大して上手くなりはしない。即ち「無駄」に過ぎません。
そんなこと、自分自身判りすぎるほど判っているのに何故「練習しよう」と思ってしまうのでしょう?

漠としたものを無理やり言葉にしてみますと
「(他人の演奏を聴くだけでなく)どうしても自分でやってみたい、自分の信じる理想の演奏に自分自身が(少しでも)触れてみたい」
「いつか自分も、聴いている方々に感動してもらえる演奏ができるのではないか」

という2つの夢を棄て切れない、ということなんでしょうね…。
そして、その実現のためには「プレイヤーとしての向上」が必須ということ。これは足下3年間の練習への取組みを経て、一層痛感しています。



私と同じく今でも精力的に楽器を続けている大学バンドの同期がいます。彼の口ぐせ(モットー)は「今日の僕は昨日の僕より上手くなっている!」 -この伝で練習を続ける彼は、何と2年後の会場を予約し自主開催でのリサイタルをやろうとしています。もちろん経費は全額自己負担、本番に向け一層練習に励む意気込みです。この話を聞いて、凄いヤツだなぁ…と率直に驚きと敬意を抱かざるを得ませんでした。
確かに50代も半ば、こんなことにチャレンジするには最後のチャンスというのが現実的なところでしょう。それを実現しようと独力でかつ力強く動き出したところが凄いと思うのです。

そんな彼から、今でも楽器を続けている幾人かの友人に向けて下記が発せられました。
「リサイタルといっても、僕一人で全プログラムを構成するのはキツい。君にも出演してほしい。持ち時間10分程度、ピアノ伴奏付ソロの本格的なプログラムをしっかり練習して発表してくれ。伴奏ピアニストの手配と謝礼だけは自分でやってね。」
声を掛けられた一人として、私も彼の”夢”に乗っかりました。

2年後を目指しソロ曲の譜面を手配、入手できたものから練習に着手しています。超難曲は無理ですが「本格的なプログラム」という趣旨には沿った曲を選びました。
ソロ曲の演奏はやはり難しい!でも昔なら手も足も出なかったであろう曲に”挑戦できる”レベルにはなっていることに喜びを感じつつ、練習に励み続けております。そして具体的な本番の目標があることが大きなモチベーションであり、誘ってくれた彼には心から感謝です。



Hqdefaultまだ若きビル・ワトラスが、ヘンリー・マンシーニ楽団でソロを執った演奏を聴きました。
”サックスより速く、トランペットより高く”と形容される彼の代表的なプレイとは違う種類の演奏ですが、音色の美しさと妙なるヴィブラート、さりげなく小粋なグリッサンド(ベンド)も織り込む豊かなその”歌”には、感動の一言です。

「もっともっと綺麗な音で吹きたい!」
という思いが、またもや更に強くこみ上げてきたのでした。

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コメント

なんか素晴らしいお話です。こちらまで勇気を与えられました。僕にとっては年末の第九が難易度マックスなのですが、幸い?毎年あるので、一歩一歩取り組みを続けようと思います。

(でも、できるようになる気はしないなあ。。。)

投稿: くっしぃ | 2017年3月12日 (日) 14時13分

くっしぃ様、有難うございます!
大丈夫ですよ。「今日の僕は昨日の僕より上手くなっている!」と言い切ってしまえば、続けられます!^^)

投稿: 音源堂 | 2017年3月12日 (日) 18時42分

トロンボーンというと、アーサープライヤーぐらいしか知りません。彼の演奏はSP版しかなく演奏時間に制約がありますが、確かにうまいとおもいます

誰でも練習してよりうまくなるということはいいことだと思います

最近ライブは聞いてないですが、CDは聞いています

投稿: bandlover | 2017年5月 7日 (日) 12時50分

bandloverさんコメントを有難うございます。
”名人芸”の世界ですね。今、Tromboneだとリンドベルイがそうだと思います。
この歳になって、ますます”いい音”に傾倒する自分がいます。”いい音”そのものに心が動き、”いい音”を聴かせようとする音楽表現に心が動く。
そんな最近の私です。

投稿: 音源堂 | 2017年5月 7日 (日) 20時39分

はじめまして…

知らない曲に出会う度に、いつも参考にさせていただいています

丁寧でそれぞれの曲に対する思いのこもった解説に、なるほど~と思いながら練習に望んでいます

ありがとうございます


楽器をはじめて…まだ1年
知らないことだらけです

40過ぎて…仕事や日々の生活に追われ、時間をやりくりしながらも、なぜ毎日練習しているのか、自分でも不思議でした

でも

こうやって、練習を続けていらっしゃる方がいることを知り、励みになりました

どんな音がするのでしょうか

聞きにいきたいです

日にちと会場教えてください

投稿: tanuki | 2017年5月27日 (土) 08時32分

tanukiさん、コメントを有難うございます!
出演する演奏会は広報の時期になりましたら、本Blogの冒頭に公告させていただいてます。今年は8月末と12月初の本番に出演させていただく予定です。
重ねて有難うございます☆

投稿: 音源堂 | 2017年5月27日 (土) 09時27分

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