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2010年7月14日 (水)

トロンボナンザ

Glenn_miller_l_with_his_trombone__2(グレン・ミラー楽団のトロンボーン・セクション)

Trombonanza
F.D.コフィールド
(Frank D. Cofield 1913-2005)


トロンボーン・セクション(3パート)をフィーチャーした吹奏楽オリジナルの小品。とても愛らしく親しみやすい、ラテンのリズムにのった天真爛漫な曲想は、トロンボーンという楽器の持つ”陽気さ””ユーモラスさ”というものを、ストレートに伝えている。やや古さは感じられるものの、それを差し引いても余りある魅力を有する佳曲だと思う。

Frank_cofield作曲者フランク・コフィールドは、アメリカの出版社 Hal Leonard 専属の作編曲家として34年に亘り活躍した人物で、ハロルド・ワルタース(Harold L. Walters)に師事してアレンジを学び、吹奏楽界にも多くの作品を遺した。
「トロンボナンザ」(1963年)はその代表作だが、このほかにはトランペット・セクションをフィーチャーした「トランペット・オーレ」も人気が高く、また「序曲”ティアラ”」は1965年度の全日本吹奏楽コンクール課題曲に採用されている。

私の「トロンボナンザ」との出遇いは、1979年全日本吹奏楽コンクールで招待演奏を披露した春日部市立谷中小学校の演奏である。「呪文と踊り」(J.B.チャンス)とともに同年のコンクール全国大会Live盤LPに収録されたその演奏には、当時「小学生がここまでできるのか!」と唸らされたものだ。
1979upバンドジャーナル誌に掲載された彼らのステージ写真には、ラテンの民族衣装を纏ったトロンボーン・セクションの姿(上画像参照)があり、とても微笑ましかった。

    ※調べてみると、谷中小学校は平成15年3月をもって閉校となった
            とのこと。あの素敵な小学生バンドは、今どんな活動をしている
            のかなと思っていたので、ちょっと淋しく、残念…。


♪♪♪

Photo_2賑やかなラテンパーカッションを伴った全合奏に続いて、早速トロンボーン・セクションのハーモニーが聴こえてきて、溌剌とした音楽が開始する。

チャチャチャ風のリズムと、ユーモラスなトロンボーンの旋律により、まさに陽気な世界を存分に味わうことができるのだ。







やがて、ちょっとおどけた伴奏に変わってユーモラスな雰囲気を醸し出すと、
Photo_4いよいよトロンボーンの真骨頂だ!
2鮮やかなグリッサンドに続き、豊かなハーモニーが得意のヴィブラートを伴って華やかに鳴り響き、トロンボーン・セクションはいよいよ饒舌になっていく。

楽曲から発散されるエネルギーは心地よく、最後まで賑やかな音楽は聴く者をハッピーな気分にさせてくれる。
”古くさい”で片付けられることなく、どうか末永く愛される一曲であってほしいと願って已まない。

♪♪♪

とても愛嬌のある、理屈抜きに楽しい曲なのでぜひ聴いてみていただきたい。音源は以下の通り。

Ep_2加藤 正二cond.
東京ウインドアンサンブル

アナログEP盤。非常に古い録音だが、この曲のオーソドックスな姿を示す演奏。ギロをはじめとしたラテンパーカッションが存分に活躍する。

Cdイアン・ピープルcond.
英国アルブヘラ軍楽隊

快速な「トロンボナンザ」。明快な録音で軽快な演奏の歯切れのよい音楽となっているが、楽曲の持つユーモラスさはやや後退している。

   【その他の所有音源】
     ケンウッド・シンフォニック・ブラスアンサンブル(吹奏楽編成・指揮者なし)

   ※尚、今現在最も入手しやすい音源は
こちら、試聴も可能。試聴した結果、
          演奏は上掲の東京ウインドアンサンブルのものと同一と思われる。
          あくまで「教材」であり、CD4枚から成るセットのため値段が高いが…。


♪♪♪

「トロンボナンザ」を聴くと、ラテン音楽とトロンボーンとの相性の良さが感じられるわけだが、「ラテン音楽におけるトロンボーン」と云えば”トロンバンガ”(Trombanga)を忘れるわけにはいかない。

”トロンバンガ”は、1960年代に巻き起こったサルサブームの火付け役ともなったバンド形態で、ピアノ+バホ(Bajo/低音弦つきのメキシカン・ギター)+ティンバレス+トロンボーン・セクション+ヴォーカルを基本とした編成。敢えてサクソフォンはもちろんトランペットも入れておらず、鮮烈でパワフルなサウンドを持ち、音楽が隆々として非常にエネルギッシュなのが特徴だ。

  ※サルサ(出典・参考サイト:SALSA JAPAN ! )
    1959年のキューバ革命を経て、キューバとの国交を断絶したアメリカでは、
         プエルトリコ人が中心となって新たなラテン・サウンドが誕生することとなっ
         ていった。そしてラテンロックの元祖と称されるブーガルーや、キューバ風
         ジャムセッションであるデスガルガの流行を経て、過去に流行したキューバ
         音楽に、ジャズ・ロック・ソウルなどを掛け合わせた音楽が隆盛に向かう。
         この音楽こそが「サルサ」(Salsa)であり、それを売り出したFANIAレーベル
         により、そう名づけられたものである。
         1970年代初頭に早くも頂点を迎えたこのサルサは ”新たなアメリカ音楽”
         なのであり、これに合わせて男女2人がアドリブで踊るサルサ・ダンスでも
         大変有名である。


トロンボーン奏者ならずとも、ラテン・ミュージックの好きな方なら心惹かれること間違いなしだと思うので、ぜひ愉しまれては如何だろうか?
トロンバンガの代表的なアルバムは以下の通り。

La_perfectaEddie Palmieli - La Perfecta (1962)
トロンバンガの起源とされるアルバム。全編に亘りトロンボーンが重用されていることは事実だが、フルートを加えた亜チャランガ編成に止まっており、また半分以上はトランペット・セクションが参加。但し音楽自体はもちろんゴキゲンで、トロンバンガらしいエネルギーの萌芽が存在する。

Que_gente_averiguaMon Rivera - Que Gente Averigua(1963)
まさに”これぞトロンバンガ”の1枚で、トロンバンガの真の起源とも云われる。やや無骨だが大らかで野太く、パワフルなノリの音楽は、スケールの大きさを感じさせる。


Sugar_daddyEddie Palmieli's La Perfecta Orchestra
- Sugar Daddy

前掲したエディ・パルミエリによるベスト・アルバム。こちらはトロンバンガのコンセプトが徹底された楽曲も多く、その魅力が堪能できる。

PhotoWillie Colon & Ruben Blades
- Siembla(1978)

ストリングスやエレキベース(チョッパー奏法も聴かれる)などを加え、より洗練されたトロンバンガ。さまざまな音楽と融合したラテン音楽たるサルサの一形態として、トロンバンガが進化したものだと云えよう。第1曲 ”Plastico”からして、トロンボーンらしいキャッチーなフレーズがさまざまに現れ、心躍る。

♪♪♪

学生指揮者を務めた大学3年時の定期演奏会を締めくくるアンコール2曲目が、この「トロンボナンザ」だった。この年から常任指揮者にお迎えしたトロンボーンの名手・花坂義孝師匠に、どうしても私たちとその素敵なトロンボーンでも共演していただきたくて、お願いしたところ快諾して下さったのだ!

本番のステージ上では三文芝居。
一緒に吹きましょうよ、と誘うトロンボーンのパートリーダーに「いやいや」と断る師匠。じゃあ、ジャンケンで僕が勝ったら、とパートリーダー。まんまと勝って大喜びのトロンボーンパート、「しょうがねえなー」と苦笑いの師匠。
舞台袖に”用意してあった”師匠の楽器を取りに行き、お渡しして私が棒を振り、演奏スタート。師匠のリードするトロンボーンパートの暗譜演奏というサプライズには、会場も大盛り上がり!

-こんな愉しい想い出を、「トロンボナンザ」は私たちにくれたのである。

( Revised on 2010.9.26. )

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コメント

いやぁ、感激です!トロンボナンザを取り上げていただいて。

中学校の時、定演でやりました。たぶん。
賛助出演した先輩の高校の定演でも演奏したはず。
トロンボーン吹きの悪友たちを思い出します。

数年前から思い出してはgoogleで検索かけてみるのですが、なかなかみつけられずにいました。やはり音源は少ないのですね。
もっと演奏されても良い曲だと思います。

もう一つ、「闘牛士のマンボ」(アルトサックスがソロの)、お気に入りでしたが、これも最近はトランペットがソロをとる「マカレナ」になってしまって、なかなか聴けないのが寂しいです。

また、更新を楽しみにしています。

投稿: Pooh | 2010年7月18日 (日) 15時37分

Poohさん、コメントを有難うございます。「トロンボナンザ」は私自身も大好きで、早く取上げたかった楽曲の一つです。
私にとってもこの曲にまつわる想い出があり、それについて追記させていただきました。実は、現在所属する楽団の次回定演で、この曲が演れるかもしれません。またいい想い出ができそうで、楽しみです☆

♪♪♪

3稿連続"ソロ・ソリのフィーチャー・シリーズ"は如何でしたでしょうか。次稿はまた普通の(?)楽曲に戻ります。執筆頑張りますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

投稿: 音源堂 | 2010年7月18日 (日) 23時33分

お久しぶりです。

トロンボナンザ、良い曲ですよね。
残念ながら演奏経験はございませんが・・・

私事ですが、現在TbからEpに楽器を持ち替えて活動しています。恐らく将来に至っても楽団の事情からTbに戻ることはないと思いますので、この曲を演奏するのは不可能だと思われます(泣)

音源堂さんのブログで以前記事にされておられた「カンタベリー・コラール」を今手掛けておりまして、代わりと行ってはなんですが、この曲をEpで歌わせてもらい、癒しを求めることにしましょう(笑)

投稿: mitakasyun | 2010年8月12日 (木) 00時05分

mitakasyunさん、どうもです!

そもそも題名からして底抜け感があります。ボナンザ=大金脈・大当たりということで「トロンボーン大当たり!」「トロンボーン大フィーヴァー」「トロンボーン一等賞」てな感じでしょうか?^^)いいですねー。

カンタベリー・コラールはなかなかに難しいですが、Euph.ソリが非常に重要な役割を果たし、その音色が活かされる曲ですよね。ぜひ存分に楽しまれて下さい!

投稿: 音源堂 | 2010年8月12日 (木) 01時42分

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