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2010年2月21日 (日)

Misty

1953_at_bop_city_in_manhattan_3 ( 1953 Erroll Garner at Bop City in Manhattan )

ミスティー

エロル・ガーナー
(Erroll Louis Garner 1921-1977)


ロマンティックで優しく、そしてとても美しいが、感傷的過ぎない。静かな情熱は、グッと大人の雰囲気を醸しだしている。高揚感は明確に有するのに、雰囲気はあくまでメロウでファンタジック。その名の通りぼやけたムードは、深遠さも感じさせる。時刻的にはもちろん夜が似合い、酒との相性もいい。(できれば洋酒、しかもワインやビールより、ウイスキーやスピリッツの系統が望ましい。)
色彩的にはグラデーションを成す”青”がイメージされる。

-そんな、稀代の名旋律である。
こんな素敵な旋律が浮かんできてしまったら、エロル・ガーナーならずとも「一刻も早く完成させ、楽譜に残したい」と、文字通り飛んでいきたい気持ちになるというものだ。歌詞があってもなくてもその魅力は強く、そしてさまざまな楽器のソロにアダプトされて愛されている。

♪♪♪

1954年にガーナーがニューヨークからシカゴへ移動の機中で窓から雲を眺めていたところ、唐突にこの「ミスティー」のメロディを着想、それを逃すまいという一心で到着後シカゴのホテルに直行し、ピアノに向って仕上げたというエピソードは有名。

これが、”ビハインド・ザ・ビート”(左手のビートにわずかに遅れて右手が旋律(アドリブ)を奏でる)と称されるプレースタイルでファンを熱狂させたガーナーの、最大のヒット曲となったのである。
ガーナーが独学のピアニストであり、楽譜の読み書きが不得手であったということが、楽曲誕生のエピソードをよりミステリアスなものとしている。

      ※参考資料 : 「ジャズ名曲物語」 吉村 浩二 著 (スイングジャーナル社)

魅力ある旋律の持つ”魅力”とは、多くの側面を持つものであり、この曲の魅力は冒頭に述べた通りだ。ジャンル如何にかかわらず、音楽が人心を惹きつけて已まないその最大要素は、「旋律」なのである。
独学ゆえに独創的だったとされるガーナーだが、彼も当然このことを理解していたし、だからこそ”天から降りてきた”「ミスティー」の旋律を、懸命に形にしよう、残そう、としたに違いないのだ。

♪♪♪

後にJohnny Burkeによる詞がつけられ、ジャズ・ヴォーカルの名曲ともなったこの「ミスティー」だが、歌はもちろんのこと、どの楽器で奏しても素晴らしい。TrumpetやSaxはもちろん、Tromboneもイケる。
例えばヘンリー・マンシーニも、違う楽器のソロによる複数のヴァージョンの「ミスティー」を自らの楽団に奏させているが、いずれも実に味わい深い。

    ※ Misty : Johnny Burke
           Look at me, I'm as helpless as a kitten up a tree,
           And I feel like I'm clinging to a cloud, I can't understand,
           I get misty, just holding your hand. 
           Walk my way, and a thousand violins begin to play,
           Or it might be the sound of your hello, that music I hear,
           I get misty, the moment you're near.
           You can say that you're leading me on,
           But it's just what I want you to do,
           Don't you notice how hopelessly I'm lost,
           That's why I'm following you.
           On my own, I would wander through this wonderland alone,
           Never knowing my right foot from my left, my hat from my glove,
           I'm too misty, and too much in love.
           I'm too misty, and too much in love.


ここは原点に還り、ガーナー自身のピアノ・ソロによるアルバムをご紹介しておく。
Beea35e3ERROLL GARNER PLAYS MISTY
”時代”を感じさせる録音ではあるが、まずは一杯、これを呑み干していただきたい。^^) あとは、さまざまな編成・ソロで色々な演奏があるので、それを探して楽しめば良いと思う。(私自身も、その最中である)

♪♪♪

最後に、吹奏楽編曲版も紹介しておきたい。
Photo_2真島 俊夫 編曲
中谷 勝昭cond.
東京佼成ウインドオーケストラ

Flugelhorn(Trumpet)のソロをフィーチャー。中間部に快活なボサ・ノヴァを用いた優れたアレンジで、ラッパに名手のいるバンドにはぜひお薦めしたい。
Photoまた、ソロを各楽器に散らしても良いだろうし、中間部に聴衆から手拍子でも貰えたなら、前後のしっとりとしたジャズ・バラードとの対比も良いので、演奏会のエンディング曲としてもハイセンス。このように、ユーティリティーの高いアレンジでもあると思う。

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