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2009年6月 9日 (火)

壮麗なる序曲

P6040015Pageantry Overture
J.エドモンソン
(John Edmondson 
1933- )





1970年の出版、CBSソニーによる「吹奏楽コンクール自由曲集」の第1弾”ダイナミック・バンド・コンサート”Vol.1(左画像)に収録、紹介されたことから、1970年代には非常に数多く演奏された作品である。
別邦題「ページェントリー序曲」

Edmondson作曲者ジョン・エドモンソンはフロリダ大学を卒業後、ケンタッキー大学で作曲を修めた人物で、プロ・トランペット奏者としてのキャリアも持つ。母校ケンタッキー大学の”ワイルドキャッツ・マーチング・バンド”のスタッフ・アレンジャーを務めていたことからマーチングの分野にも明るく、ポップスのジャンルも含めコンサートバンド・マーチングバンドの双方に、多くの作編曲作品を提供している。

♪♪♪

Photo_9 「壮麗なる序曲」は判りやすい構成と美しく親しみやすい旋律を持ち、技術的にも易しい作品でありながら、同時にモダンな響きも有していることが、その人気の理由であっただろう。洵に愛すべき小品である。

短い序奏に続き、Trp.が全曲を支配する主題を提示する。
1この旋律がさまざまな楽器に受け継がれていく楽曲であるが、終始しっとりとして抒情的な印象である。Allegroで始まった楽曲が、Meno mossoとなって幅広く、暖かく歌われるとその抒情性が一層際立ってくる。

木管のトリルでテンポと快活さを取戻してAllegroを再奏したのち、さらにロマンチックな3/4拍子・Moderatoの中間部となる。
2木管群の歌うこの美しい旋律は、明らかにサティの「ジムノペディ第1番」の影響を受けたものであるが、とても幻想的で味わいがあり、この雰囲気を吹奏楽に持ち込もうとした作曲者の意図がよく伝わってくる。

3素敵な旋律を、ちょっと気のきいた伴奏とサウンドで聴かせるこの曲は、古くささとは無縁の普遍的な魅力があると云えよう。

Trb.が堂々と中間部の旋律を提示してブレイク、カノン風の主題応答と打楽器のソリが交互に現れて快活さを取戻す。
そして音楽はさらにスケールを拡げてゆき、エキゾティックなハーモニーによってモダンなアクセントが加えられ、雄大さを増したクライマックスとなって終結へ向かう。

♪♪♪

Photo音源は
飯吉 靖彦(汐澤 安彦)cond.
フィルハーモニア・ウインド・アンサンブル

発音にやや荒さが感じられる部分もあるが、この曲の良さを確りと押さえた演奏である。

また、他の音源を聴いてもそれぞれに個性がありながら、いずれもしっとりとよく歌う演奏となっている。楽曲に”歌心”が備わっているのだと思う。

【他の所有音源】
 山田 一雄cond. 東京吹奏楽団
 木村 吉宏cond. 広島ウインドオーケストラ
 エドワード・ピーターセンcond. ワシントン・ウインズ


※尚、試聴音源を含む出版社(C.L.Barnhouse)サイトはこちら

♪♪♪

演奏Grade2.5という平易さながら、この曲には確かな魅力がある。当時の演奏機会の多さはその証明であろう。
やはり、”いい旋律”のある曲は強い-
つくづくそう思わされる。
難易度はもちろんのこと、手法が保守的あるいは前衛的だとか、内容が単純か複雑かとか、そんなことを超越して力のある音楽には確りと作られた旋律が存在する。何といっても音楽の魅力の最大要素は、旋律なのである。

(Revised on 2011.1.3.)

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コメント

初めまして、52歳オヤジです。

ひょんなことから貴サイトにたどり着き、1970年
代に吹奏楽部で標記の曲やベレロフォン序曲を演奏し
たことを懐かしく思い出しました。

 それで、どうしても当時発売されたLPが欲しくて探
してみましたら、ウチの吹奏楽団の指揮者(中学校の退
職教員)が5枚持っていました。早速借り受けて当時の
ことを懐かしみながら聴いています。
失いかけていた何かが甦ってきたような心持ちです。
ご紹介有難うございました。以下がその5枚です。

1.ダイナミック・バンド・コンサート”Vol.1
 ・皇帝への頌歌
 ・壮麗な序曲
 ・エルシノア序曲 他

2.ダイナミック・バンド・コンサート”Vol.2
 ・古典序曲
 ・ベレロフォン序曲
 ・ファンファーレ、コラールとフーガ 他

3.コンテスト・バンド・ミュージック・セレクション75
 ・ストラット フォード組曲
 ・エディフェンス
 ・パンチネルロ序曲 他

4.ニュー・コンサート・ミュージック・フォー・ユア・ バンド
 ・ドンキホーテ序曲
 ・バンドのためのトッカータ
 ・タングルウッド序曲

5.コンテスト・ミュージック・フォー・ウインズ
 ・バラの謝肉祭
 ・ウェールズの歌
 ・管楽器のための序曲
 

投稿: オヤジ | 2009年6月19日 (金) 22時08分

オヤジさん、お越しいただきまたコメントを頂戴し、洵に有難うございます。
挙げていただきましたレコードたちは、私も収録曲全部を最初から最後まで歌えるほど聴き込んだモノです。あの時代の作品は、私どもにとって本当に特別な存在ですね。

他にも懐かしい曲から、最新の曲も幅広く採り上げております。今後とも我が「音源堂」をご贔屓下さいませ。

投稿: 音源堂 | 2009年6月20日 (土) 23時00分

こんにちは。
「吹奏楽のための民話」でお世話になったやすです。ご無沙汰しております。

「ページェントリー序曲」ですか。これまた懐かしい曲ですねぇ。高校生の頃に練習曲として演奏しましたし近隣の学校もまねてこの曲を練習していたことが懐かしく思います。
今、私は中学校で吹奏楽部の顧問をしていますがちょうど文化祭で「壮麗なる序曲」か「タングルウッド序曲」かどちらを演奏しようか考えています。

オヤジさんが紹介されたレコード、過去に姉から譲ってもらったのですが今年40歳の私も持っています。私自身もこの紹介されたレコードには何か特別な思い出があり現在も吹奏楽奏者として携わることが出来た原点であるかもしれません。
ちなみに私の中学校のコンクールの自由曲はオヤジさんが紹介なされた4番目のレコード「New Concert Music for Your Band(吹奏楽コンクール自由曲集)」に収録の「バンドのためのトッカータ」を参考音源に使い部員一同私の指揮で練習に励んでおります。

関係ないですがADプレーヤ、カートリッジ、アンプを去年入れ替えました。

この頃の曲はなにか、表現しにくいのですがわくわくさせる、スクールバンド向けの無理がない曲が多くて演奏する楽しみが養えた記憶があります。

またよい音源を紹介して下さい。
ではまた。

投稿: | 2009年6月22日 (月) 18時27分

やすさん、しばらくです!

SONYの吹奏楽レコードは全て入手し、テープに録って飽きることなく聴いておりました。ちょっと不幸な出来事があり、その全てを失ってしまったのですが、中年になってからネットオークションで全部買い直すことができました!
こうしたLPはジャケットを手に取るだけで何だかワクワク…これは今も変わりません。

投稿: 音源堂 | 2009年6月22日 (月) 22時35分

こんばんは、私もご無沙汰致しております。

このLP、私も持っていたんですけどね~。
引っ越しの際に何枚か割れてしまった物があって、その中の一枚にこれがありました。

今はLP音源もPCに取り込んでCD化出来ますから良い時代になった訳ですけど、肝心のLPを失って持っていなければどうしようもありません。

思えばこの時代の曲というのは親しみやすく、かつ構成もよく練られていて完成度の高い物が多かったですね。

余談ですが、オヤジさんの挙げておられる中で4番目の中にスピアーズの第三組曲とパーシケッティのページェントがありますよね。この2曲我が家の本棚に原譜が眠っておりまして、今度所属している吹奏楽団に寄付するつもりです。演奏機会に恵まれるといいな~と思っております。

投稿: mitakasyun | 2009年6月23日 (火) 00時00分

mitakasyunさん、どうもです!
いやー京都での単身赴任時代にLPのCD化を精力的に実施したのですが、とにかく時間と手間がかかって大変でした。ここ数年でこつこつ買い集めたLPについては、未だCD化できておりません。
mitakasyunさんが以前コメントして下さったバタショフ独奏によるトロンボーン協奏曲(リムスキー=コルサコフ)のLPも入手したのに、聴けないままです。まさに「宝の持ち腐れ」になっております。
今年の夏休み中に、何とか頑張ってCD化を進めたいと思います!

投稿: 音源堂 | 2009年6月23日 (火) 09時41分

こんばんは。またまたお邪魔します。

Tb協奏曲のLPもっておられるんですね!
ongendoさんのリンクからMBレコードさんに飛んで、そこで扱っているのを存じていますからいつか入手したいと思っているのですが、一枚だけの通販は駄目と書かれていたような・・・

カセットテープの倍速ダビングのような技は使えませんから、LPのCD化は余程気合いを入れないと中々手を付けられないですよね。私も随分時間を費やしましたからよく分かります。大変でしょうが頑張って下さい。

投稿: mitakasyun | 2009年6月24日 (水) 00時21分

mitakasyunさん、こんばんは!(仰っていただいたコメントの修正、やっておきました。)

そうです!MBレコードさんから買ったんです!東京に住んでおりますので直接お伺いして買うこともできるのですが、他に欲しいLPもありましたので、通販で買うことができました。(バタショフ盤、まだ在庫ありますヨ!)
実際、2度ほどショップにもお伺いしたことがあるのですが、MBレコードのオーナーはとっても親切で誠実な素晴らしい方です。LPは目の前で検盤して、状態のいいものから売って下さるんです。

こちらは商売は抜きで、いわば啓蒙活動或いは文化事業としてやられているショップだと思いますから、1枚のLP通販対応は確かに厳しいでしょう。理解してあげて下さい。
でも- このショップは素敵な音源に溢れた、夢のような場所でしたよ♪

投稿: 音源堂 | 2009年6月24日 (水) 01時06分

こんばんは。
秋の夜長ならぬ夏の熱帯連夜・・・。
何気に棚のコレクションから、偶然、手にしたCDがこの推奨盤。「壮麗な序曲」を、久々に聴きました。私にとっては、コンクールで初めて「金賞」という言葉を聞いた曲でした。(地区予選でしたが・・・。それでも、嬉しかったです。)飯吉&フィルハーモニアWEのLPは、中学校の音楽室で、毎日数えきれないくらい聴いていました。今になれば、スコアからいろんな事が理解でき、もっと深くアプローチ出来ると思うのですが、「したい時にはなんとやら」で、この曲の素晴らしさを、直接体感することは、残念ながらできません。管理人さんはじめ、たくさんの方が、色々なコメントをされている事からも、ただ懐かしいだけでなく、「素晴らしい魅力を持った楽曲に出会えていたのだなあ」と当時、選曲・指導してくださった、中学校の顧問の先生に心から感謝します。思えば、この曲との出会いから、私のバンドライフにスイッチが入ったのかもしれません。もう35年以上前のことですが・・・。
まだ、あの頃はコンクール会場といっても、各学校の体育館で、持ち回りで行っていました。(うちの方だけかなあ?それでも、普門館に進んだ学校もあったんですよ。)
この頃の楽曲が聴けるのなら、久々にコンクールも行ってみたいなあ。今年も予選が各地で始まっている頃ですよね。

投稿: ブラバンKISS | 2014年7月30日 (水) 01時55分

ブラバンKISSさん、暑中お見舞い申上げます。いやあ、本当に暑いですね。
この「壮麗なる序曲」あたりですと現在演奏機会は極めて少ないのではないでしょうか。昨今コンクールでは恐ろしいほどに”現在”邦人作品が隆盛で、私にとってはちょっと理解し難い感じです。
「壮麗なる序曲」いいですよね!吹きたいし、振りたいです!

投稿: 音源堂 | 2014年7月30日 (水) 10時15分

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