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2008年12月28日 (日)

セドナ

Steven_reinekeSedona
S.ライニキー
(Steven Reineke 1970- )








作曲者スティーヴン・ライニキー(冒頭画像)はシンシナティ・ポップス・オーケストラの副指揮者兼アレンジャーとして高名。
もともとトランペット奏者として音楽家のキャリアをスタートさせたこともあってか、吹奏楽界にも「ホープタウンの休日」「神々の運命」といったオリジナル曲を、数多く提供している。2007年には大作「吹奏楽のための交響曲第1番”New Day Rising”」を発表し、一層の注目を集めた。

そんな彼の作品の中でも、「セドナ」(2000年)は特に人気が高い。明快な構成と印象的な旋律 -一つの旋律を展開・変奏していくのだが、旋律の魅力と豊かな色彩感とで、決して飽きさせることのない佳曲となっているのである。

♪♪♪

Photo_3”セドナ”とはアメリカ・アリゾナ州にある景勝地。突き抜けるように青い空と、低木の緑とに囲まれた赤色の巨岩(レッドロック:鉄分を多く含む)のパノラマが名高い。

※本稿で採上げた「セドナ」のスコア表紙(左画像)も
  この「レッドロック」をフィーチャーしている。



その壮観と、美しい水辺の光景が見られるオーククリーク・キャニオンの入口にもあたることから、セドナには年間約400万人もの観光客が訪れるとのことである。
Sedonaまた、セドナにはヴォルテックス(Vortex)という所謂”パワースポット”がいくつも存在しており、スピリチュアル・リゾートとしての人気も持つ。この”ヴォルテックス”では、大地から磁場が渦を巻いて湧き起こっているといい、「日常の疲れが癒された」「普段夢を見ない人も毎晩夢を見る」「身体の痛みがとれる」「自然に悩みが消えていく」など、”癒しのパワー”が得られると紹介されている。

古来ネイティブ・アメリカンの聖地として扱われていたというこの地には、自然の不思議な力が備わっているということだろうか-。

※参考サイト
   アリゾナ州セドナ商工会議所観光局公式ウェブサイト
   クラブワールドのセドナ&Mt.シャスタツアー


♪♪♪

1短く、しかし鮮烈にクレッシェンドするスネア・ソロで曲を開始、非常に斬新なオープニングである。楽曲は急-緩-急の典型的な序曲形式にして、前述の通り明快な旋律線の音楽であり、大変親しみやすい。

しかしながら、その旋律の素晴らしさと展開に見せる音色の彩りが見事で、充分な音楽的魅力も備えている。これこそを作曲家の”手腕”というのだろう。

ソロを数多くかつ効果的にフィーチャーしているのも特長で、優れたプレーヤーを揃えた実力のあるバンドであれば、それだけ高次元の音楽になることは疑いない作品である。

♪♪♪

快速部は Allegro con brio 4/4拍子、意外感のあるスネア・ソロでスタートし、モチーフの提示。続いて快活なリズムに乗り、クラリネットが歌いだす旋律がのびのびと躍動する。
2各楽器の音色対比もオーソドックスに確りと活かされているし、フレーズの終わりには効果的なHornのgliss-upを聴かせるなど、実に気が利いている。

静まってテンポを緩め、抒情的なTromboneソロが現れる。
3これに導かれて Andante cantabile 3/4拍子の中間部となり、ファンタジックな伴奏を従え、Flute ソロが美しく歌う。楽曲は楽器の特性・音色を存分に発揮させながら高揚し、同じ旋律がまた違った味わいで歌い上げられていくのである。
その頂点で音楽は幅広い、雄大なクライマックスとなり、聴いているものに確かな満足感、そして不思議にほっとした安寧を与えるのだ。

静まって名残惜しげなFluteの余韻の中、スネアのリズムが快活さを呼び戻し、カノン風のブリッジへ。ここでもクラリネット、ファゴットのソロが掛け合い、さらに音色の多彩さを印象付けている。
4コンパクトな再現部を経て、生命感とスピード感を増すコーダへ突入し、ほとばしる清流をイメージさせる爽やかなエンディングを迎える。

♪♪♪

これほどキャッチーな旋律が生み出せた段階で楽曲の成功は約束されたともいえるが、これを活かす”余計な重量感のない(=爽やかな軽さの)”サウンドが特徴的な作品だと思う。曲全体のシンプルな完結感・統一感の高さが、却ってこの曲の魅力を充実させていると感じられるのだ。

Cd_ww音源はその魅力を端的に伝える
エドワード・ピーターセンcond.
ワシントン・ウインズ

をお奨めしたい。
おなじみ”デモ音源職人”の「職人芸」。この演奏はその中でも屈指の好演と思う。
「如何にもスタヂヲ録音」なのを差引いても、素晴らしい。

Cd「如何にもスタヂヲ録音」がどうしても嫌という方には
山下 一史cond.
東京佼成ウインドオーケストラ

の演奏を。自然な響きの演奏で手堅いが、伴奏と旋律のグルーヴにやや一体感を欠くのは残念。

※尚、試聴音源を含む出版社(C.L.Barnhouse)サイトはこちら

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コメント

こんにちは。
ブログにわざわざコメントしていただきありがとうございます!!
受験の応援もしていただいて嬉しい限りです。
私は吹奏楽が大好きで、曲についてもっと知ろうと思っていて、このようなサイトがあるととても勉強になります。これからも頑張ってください!!

投稿: 歩如 | 2009年1月 7日 (水) 19時32分

歩如さん、ご丁寧に有難うございます。
更新頑張りますので、またぜひいらして下さいね!

投稿: 音源堂 | 2009年1月 7日 (水) 21時48分

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