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2008年3月12日 (水)

フェスティーヴォ

Lp_2Festivo
V.ネリベル
Vaclav Nelhybel
1919
1996








冒頭、
打楽器群の16分音符の活気溢れるリズムからして、思わず心躍らされる-。

「交響的断章」「二つの交響的断章」「トリティコ」など、現代的な作風で個性を放つヴァーツラフ・ネリベル1967
に作曲。急-緩-急のオーソドックスでシンプルな序曲形式の作品だが、随所にネリベルらしさが窺える。
演奏難度の割にその音楽的効果は高く、前述のように賑やかに、そしてエネルギッシュに活躍するパーカッション・パートには特に注目である。
(曲名表記としては「フェスティーボ」も根強い)

♪♪♪

前述の通り、快速で活気に満ちた打楽器群の16分音符のビートにのり、全合奏による8分音符の打込みが作り出すリズム・パターンにより、曲は開始される。
Festivo001やや静まってTrp.に最初の旋律が現われ、続いて木管群と金管群が対峙する楽句で高揚、前奏部を終える。この間、ずっと打楽器群のビートは刻まれ続けるのだ。

スネアの小気味よい8分音符でさらにテンポを上げ、Trp.が輝かしく軽やかなフレーズで登場する。これに応ずる低音群と打楽器のユニークな動き、そして長いフレーズの木管群・・・これらが対比的に応答し発展していく。
Festivo002華々しい前半のクライマックスでも、高らかな高音楽器群と強力に下降する低音楽器群との対比が鮮烈である。ダイナミクスの変化も含めて、さまざまな「対比」がこの曲をとても面白くしている。

テンポを落とした中間部は、日本の夏の夕暮れ時をイメージさせるムード。Muted HornとXylophoneの動きはヒグラシの鳴声みたいだし、幻想的なフルートのソリ、続くノスタルジックなクラリネットの旋律も、どこか東洋的なのだ。
Festivo003淵となって流れを止めた川が再び進んでいくように、チャイムとグロッケンが歩みを始め、徐々に楽器が増えて進んでくる。ベースライン、そしてスネアのリズムが加わって、音楽はエネルギーをさらに充填し、強力な中低音のスケールが上行しブレイク、快速さを取り戻す。

さらに生命力とスピード感を増した再現部を経て、勢いもそのままに華麗で伸びやかな金管群の楽句が響きわたる。この間も打楽器、低音、木管群が入れ替り立ち代り対比的な動きを見せる。シンプルだが確かなネリベルの手腕が感じられよう。
重厚なテンポ(Grave)のコーダはサウンドも濃厚!拡大された旋律が、うねる打楽器群とともに、ff の分厚い音塊で聴くものに迫り来る。押し寄せた音の波は、鮮烈な全合奏のsffz でさえぎられ、曲を閉じる。

♪♪♪

この曲を広く知らしめることになったのは、1969年全日本吹奏楽コンクールで準優勝を収めたヤマハ浜松の快演である。この演奏がCBSソニーが発売した「全日本吹奏楽コンクール名演集 1964-1969」(LP/冒頭画像)に収録され、有名となったのである。

  ※このLPは全日本吹奏楽コンクールが最も熱く燃えていた時代の名演を
       集めた貴重なもの。中でも福岡電波高校の「アッピア街道の松」や阪急
       百貨店の「軽業師の踊り」などは、このLPでしか聴くことのできない録音。
       時代を超えて、感嘆させられる名演である。尚、ヤマハ吹奏楽団は当時
       ”ヤマハ浜松”の略称で親しまれていた。


この年の優勝は阪急百貨店であったが、ヤマハ浜松は翌年の金・銀・銅表彰制度移行後、全国大会金賞を連続受賞。意欲的な邦人作品への取組みでも知られるアマチュアのトップバンドとなった。
「フェスティーヴォ」の快演をきっかけに、ヤマハ浜松はネリベルに「ヤマハ・コンチェルト」を委嘱。翌1970年の全日本吹奏楽コンクールで演奏して、見事金賞を射止めたエピソードも有名である。


  ※尚、現在この「フェスティーヴォ」の演奏はBRAIN社のダウンロードサイト
     にて購入することができる。(但し、録音があまり良くないのは残念。)

一時期、大変よく演奏された曲だが、録音は驚くほど少ない!ヤマハ浜松以外の音源としては

Festivo汐澤 安彦cond.
東京アンサンブル・アカデミー

の演奏を推しておきたい。もっとスピードは欲しいのだが、快速部分の直線的な旋律をキチンと歌にするなど、音楽的なまとまりのある好演である。

  【他の所有音源】
    井町 昭cond. 大阪府音楽団
    木村 吉宏cond. 広島ウインド・オーケストラ
       Alfred社 サンプル音源(演奏者不詳)
   ヴァーツラフ・ブラクネフcond. 東京佼成ウインドオーケストラ


♪♪♪

とにかく「快速さ」が欲しい。充分快速に始まったのに、主部に入って限界まで快速にギア・チェンジ!さまざまな「対比」を描くこの曲、中間部の穏かさも、コーダの濃厚さも存分に効かせたい。そのためにも、速い部分は”ぶっ飛ばして”ほしいのだ。
その上で、濃密な「ネリベル・サウンド」が聴けたなら・・・まさにBRAVO!

テンポの快速さ以上に、聴く者の心を煽って、さらに煽っていく-。「フェスティーヴォ」の持つエネルギー、熱狂を存分に示す演奏は、なかなか現われない。この曲も”決定的名演”の録音が待望される一曲である。

(Revised on 2013.11.2.)

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コメント

ご無沙汰です。この曲も懐かしいですね。70年代のコンクールでは、必ず見かけたタイトルですよね。曲の冒頭のインバクトは、当時、新鮮でした…。ヾ(^_^) byebye!!

投稿: | 2008年5月 9日 (金) 00時52分

そうなんですよね、何しろ冒頭が印象的なんです。のっけからエネルギーが炸裂しているというのか・・・。シンプルな曲なんですが大好きです!
・・・って、初めてのIPアドレスでコメントを頂戴してますよね。どなたなのか教えて下さい!(思い当たる方、たくさんいらっしゃるのですが・・・。)

投稿: 音源堂 | 2008年5月 9日 (金) 11時05分

管理人さん、すみませんでした。慌てて名前の入力忘れてしまいました。これからも、時々遊びにきますね。ブラバンKISSでした。m(_ _)m

投稿: ブラバンKISS | 2008年5月 9日 (金) 20時35分

ブラバンKISSさん、有難うございました。
引続き新規記事は同時並行で複数準備するなど、精力的な執筆を心掛けておりますが、過去記事につきましても見直しを進め、体裁の統一化を含めて順次Reviseし、内容の充実に努めております。
おかげさまで、Googleにおいても各楽曲の検索結果上位に拙Blogがヒットしており、皆さまの何らかのきっかけになればと思っております。
今後ともどうぞ宜しくお願い申上げます!

投稿: 音源堂 | 2008年5月12日 (月) 07時53分

吹奏楽をやっていたのは20年前、中学生のことですが、このフェスティーボが大好きでした。
ひさびさにスコアを見て感激しました!

投稿: せいきち | 2009年5月29日 (金) 23時14分

せいきちさん、ようこそお越し下さいました!人それぞれに想い出の曲ってありますよね。それはやはり「実際に演奏する」ということが、特別な体験だということの証だと思っています。
今後とも、ぜひ我が音源堂を宜しくお願い致します。

投稿: 音源堂 | 2009年5月30日 (土) 00時05分

V.ネリベルの作品の中で、私が唯一本番で実際に
演奏をしたことがある曲です。

トップのジャケット写真は確か、コンクール全国大会の名演
を集めたベスト盤みたいなヤツではなかったでしょうか?
ヤマハ浜松の「フェスティーヴォ」以外にも、豊島十中の
「エルザ~」や出雲一中の「トッカータとフーガ」などが
収録されているLPではありませんか?
(記憶違いでしたらごめんなさい)

さて、この「フェスティーヴォ」を私が初めて知ったのは
中3か高1の頃、井町昭/大阪府音楽団による音源からでした(この音源は後年CD化されています)。
騎馬隊かなにかが突進してくるような躍動的なリズムに興奮し、一発でこの曲が大好きになりましたね。

そしてさらに数年後に聴いて衝撃を覚えたのが、こちらで
採りあげておられるヤマハ浜松の「快速版」でした。
初めて聴いた瞬間はただ「唖然…」という感じでしたね。

ただ、実を言いますと私は快速版よりも、通常のテンポで
演奏された「フェスティーヴォ」の方が好きなんです。
かと言って快速版が嫌いというわけでも決してなく、既に
「別の曲」として捉えています。

---
ところで、この「フェスティーヴォ」に絡んで
とても残念だったことがひとつ。

佼成出版社が90年代後半に発売したV.ネリベルの作品集CD、「復活のシンフォニア」(KOCD-3577)に、この曲がなぜか収録されなかったことです。

収録時間の制限もあったのでしょうが、二枚組にしてでも
いいから、プロによるこの曲の新録音を聴きたかった…。
でも、近年国内で演奏される機会が減っている作曲家のCDを二枚組で出すことは営業的には難しかったんでしょうか…。

投稿: HARA-P | 2011年7月18日 (月) 11時47分

HARA-Pさん、暑い日が続きますね!

フェスティーヴォ、いいですよね!
快速といえば、確か1980年の西部大会で江原中(この学校名、おそらくご存知でしょう?^^)がこの曲をぶっ飛ばした快速で演奏し「速ぇー!カッコ良かったー!」と話題になっていましたよ。

>トップのジャケット
その通りです。もう40-50年前の演奏なのに、どの演奏も凄いし、音楽的に魅力を持っているんですよねえ。

ネリベルのみならず、私の大好きな作曲家の作品をもっと録音して欲しいです。最近の新曲で「これは」というのは本当に少ないですしね…。私の方が”年取って古くなっただけ”とは到底思えません。魅力を欠く新曲を垂れ流すように録音するくらいなら、昔の曲でも良いものは再評価し録音してくれるといいのですが…。

投稿: 音源堂 | 2011年7月18日 (月) 13時01分

江原中!!!
まさかこちらでその校名を聞くとは…w

昔の熊本の団がネリベルとマクベスを
やる団が多かったのは確かですね。

音源堂さまもいらっしゃったあの団の
某氏からも「九州の楽団はネリベルと
マクベスしかやらないんですよね~」と
憎まれ口を叩かれたのも今ではいい想い出です♪

投稿: HARA-P | 2011年7月19日 (火) 00時56分

>ネリベルとマクベスしか

何と言われても大好きです!^^)

九州人 音源堂

投稿: 音源堂 | 2011年7月20日 (水) 00時22分

ご無沙汰しています。既にご存知かもしれませんが
「フェスティーヴォ」の新録音が発表される模様です。
演奏はV.ブラフネク指揮/東京佼成ウインドオーケストラ。
来月以降に発売予定だそうです。これは楽しみですね♪

投稿: HARA-P | 2013年9月27日 (金) 20時00分

HARA-Pさん、どうもです!
そうなんです、本当に久々の新録音♪私、発売のニュースを掴んで直ぐ、9/4にはAmazonで予約しちゃいました!
楽しみですー♪♪♪

投稿: 音源堂 | 2013年9月28日 (土) 00時16分

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