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2007年11月 7日 (水)

ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団、来日! (2007.11.6.)

001半年前からチケットを確保して、待ちに待ったギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団(以下ギャルド)の演奏会に出掛けた。
ところは新宿(初台)/東京オペラシティ。会場にはEuph.の某重鎮の顔も見られたし、聴衆の熱気は開演前から強く感じられた。

生まれて初めて聴く生ギャルド!楽員がステージに現れると、私の胸の高鳴りも頂点に達する-。


♪♪♪

ギャルドとは「パリ共和国親衛隊音楽隊」のことであり、1848年創設。フランスの誇る”吹奏楽団の最高峰”に疑いない。

サックスの神的存在マルセル・ミュールをはじめとして、歴代「パリ・コンセルヴァトワールで1等賞を獲得またはそれと同等の能力を持つ者」を楽員資格としているこの優れたバンドの演奏は、管弦楽団と比較しても全く引けをとらない、とされてきた。
本日の演奏もその伝統に恥じない素晴らしいものであり、決して美しさを失わない、ふくよかなサウンドはこの上なく魅力的であった。

♪♪♪

第10代楽長フランソワ・ブーランジェに率いられた2007年現在のギャルドの編成は、管弦楽団と酷似していた。低音以外のサクソルン族やサリュッソホーンは使用されていない。

即ち1・2番クラリネット各群が第一・第二ヴァイオリンの役割を果たし、フルート、オーボエ、ソロクラリネット、バソン、ホルン、トランペット、トロンボーン、テューバは(多少パートのダブリはありながらも)管弦楽団における管楽器群と同じ位置づけである。

低音はサクソルン・バス(ユーフォニアムに似た楽器)、サクソルン・コントルバス(アップライト型テューバに似た楽器)の各群に、3本のストリング・ベースで構成。
※テューバは「オケ」と同じ扱い。サクソルン・コントルバスとは全く違う楽器として扱われている。

これにサクソフォーン群、バスクラリネット、コントラバソン(これはバスーンか?)、そしてE♭クラリネット、打楽器、ハープ、ピアノを入れて総勢75-80人の奏者による編成である。

♪♪♪

本日のプログラムは・・・002_2

セルゲイ・ナカリャコフをソリストに迎え、トランペット・ソロをフィーチャーした内容である。
(ナカリャコフのトランペットは、私のイメージしている「ラッパ」とは違った音と演奏であった。変な言い方だが、まるで別の楽器のよう…。好みは別として、そのかけ離れ方がナカリャコフの凄さではないかとも思う。)

♪♪♪

冒頭からして、サウンド・各楽器の音質に「格」の違いを見せつけられてしまう。私のあまり好きでないR.シュトラウスで始まったのに、ガツンと惹きつけられた。

続いて、今回の目玉
「ディオニソスの祭り」(F.シュミット)
あくまで現在のギャルドの編成による演奏で、特殊な楽器の使用はなかったが、見事であった。流麗な音楽の流れは、高い技量に支えられてこそのものであり、この難曲が難曲に聴こえないのだから凄い。
曲作りは理性的なもので炸裂感はなかったが、一本の音楽の流れに充分な説得感があった。
(尚、殺人的といわれるTimp.の”音換え”だが、Timp.は4台のみの使用で整斉と行われていた。)


ここまでの演奏で、既にストリング・ベースと金管低音の完璧にブレンドされた音色が随所に聴けた。-久しく接していなかった凄みである。
そうだ、自分はこれが好きだったんだ!このサウンドこそ吹奏楽の醍醐味だ!と思う。

♪♪♪

プログラム後半、ナカリャコフの妙技を聴かせたあとの舞踏組曲(B.バルトーク)はピアノを欠いた編曲であったこと、私の好きな楽章をカットした抜粋版であったことが残念。

しかし、(ピッコロ・フルートでなく)E♭クラを最高音域としたアンサンブルで弦パートを表現するギャルドのサウンドは統一感があり、本邦における一般的な吹奏楽団の演奏とは明らかに一線を画す。
こうしたアレンジ/オーケストレーションは改めて吹奏楽のあるべき方向感の一つを示していると感じた。
また(当り前のような気もするが)、歌い方・一つ一つの楽句の奏し方がよくある”吹奏楽節”でなく、管弦楽的=非常に音楽的なものに統一されていることも素晴らしい。

そして、やはり最後の「パリのアメリカ人」(G.ガーシュウィン)こそが最大テンションを示した演奏だっただろう。
クライマックスでは”ブーランジェ・ジャンプ”も。
(おおーっ、飛んだぁー!^^)

♪♪♪

全体を振り返ってみて、個々の奏者のレベルが本当に高いことを痛感。本日の演奏では、中でもオーボエ・ソロが特筆すべき出来映えであった。

アンコールは「カルメン前奏曲」「熊蜂の飛行」から最後の「ラデツキー行進曲」に至るまで実に5曲!の大サービス。スタンディング・オベーションがなかなか出来ない日本の聴衆を前にして、ちょっと勝手が違ったのではないかとは思うが、結果として聴衆の熱狂は伝わったようなのでうれしく思う。

アンコール4曲目は・・・(サウンドからして真島俊夫氏のアレンジと思うが)何と「涙そうそう」!
ドラムセットも入り、ギャルド・サウンドで聴く日本のポップスはなかなかシュール。
でも、天の上の存在であるギャルドも、まごうことなき”吹奏楽団”であることを強く感じた瞬間であり、吹奏楽ファンとして何だか凄く嬉しくなってしまった。
このサービス精神、ボーダレスさが吹奏楽の真骨頂だと思うのだ。

♪♪♪

Photoインターミッションでは、楽員が様子を見に?ロビーに来ていた。
こんな様子も実に「吹奏楽団」的、オケのそれではない。





Photo今回、惜しむらくはもう少しいい席で聴きたかった。会場の端っこであったためだろう、音の分離が悪く(特に最上段のTrp.・Trb.)、残念。やっぱりコンサートはいい席で聴かないとダメ!と思い知った私であった・・・。


いやー、やっぱりギャルドは凄かった!
そして、吹奏楽って楽しい!

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コメント

いいなあ。。。
「ストリング・ベースと金管低音の完璧にブレンドされた音色」
生で聴きたかったです。

投稿: くっしぃ@サウジ | 2007年11月 8日 (木) 06時20分

吹奏楽のポテンシャルというものを感じさせられた一夜でした。今のギャルドの編成なら、日本のバンドでも充分組めますけど、このレベルの演奏は無理でしょうねえ。

E♭クラのオジサマなんて、もう本当に楽しげに「ディオニソス」を演奏してました。あの激難しいパッセージの部分でですよ。バケモンです。

やっぱり、次元の違う音がしてるんですよ。(しかもそれが生で聴こえてくる!わけです。)
必ずしも感動の嵐!大熱演!ってタイプの演奏じゃないんですけど、吹奏楽の一つの究極の姿であることは、間違いないですね。
それだけに、ギャルドが垣根を全てとっぱらって演奏してくれた「涙そうそう」は嬉しかった。
なんか、ジンときましたよ。

投稿: 音源堂 | 2007年11月 8日 (木) 18時31分

「もう本当に楽しげに」
こういう姿を見せてくれるとこちらまで嬉しいですね。音楽が好きで嬉しくてしょうがない、といったその人の素が伝わってくるような気がします。ライブの良さだと思います。
ところで、サクソルン・コントルバスって形状はいわゆるBessonのEs Bassみたいな楽器だったですか?上の写真では、Tb横とストリング・ベースの前にテューバがいるようですが、倒し方からして全部フロント・アクションのロータリーっぽく見えます。Tb横がオケで言うテューバの役だとしたら、ストリング・ベースの前がオケのストリング・ベース役かな?と思ったのですが。実際の配置ではどうだったでしょうか?

投稿: くっしぃ@サウジ | 2007年11月 9日 (金) 22時52分

> サクソルン・コントルバス
> BessonのEs Bassみたいな楽器だったですか?

はい、そう思います。「のだめカンタービレ」の17巻表紙に使われている楽器?
尚、形状的にはサクソルン・バスの方が特殊な感じでした。どちらかといえばバリトンに近いような、アルトホーンのでっかいヤツ、というかでして・・・。アクション部分が独特に見えました。

♪♪♪

配置は、

Tuba(ロータリー/1本)が雛壇一番上右端、バストロの横=オケでよくあるパターン。

サクソルン・コントルバス(3本)は右サイド反響板前。即ち右サイドは、サクソフォーン2列→サクソルン・バス4本→サクソルン・コントルバスの順。サクソルン・コントルバスの(前ではなく)右側=客席寄りに、ストリング・ベース3本が並ぶ。

というものでした。写真とは少し違ってます。

投稿: 音源堂 | 2007年11月 9日 (金) 23時12分

おお!さっそくのお返事ありがとうございます。
本当に弦5部にならった編成なんですねえ。ギャルドにはいつまでも別格であり続けて欲しいです。

サクソルン・バスはクルトワのサイトのこんなやつだったのでは?
http://www.courtois-paris.com/img/ac-groscuivres.pdf
確か、3番のピッチがEuphより低くて、微妙に運指が違ったような。。。ユニークで面白い楽器ですね。サクソルン・コントルバスもこれの巨大化した形だったら、非常に面白いと思ったのですが。
3本の金管低音と3本の弦低音が完璧なユニゾンで鳴らしたら鳥肌ものですね。くどいようですが、やっぱりうらやましい。。。

投稿: くっしぃ@サウジ | 2007年11月10日 (土) 03時39分

> サクソルン・バスはクルトワのサイトのこんなやつだったのでは?

ええ、サイトを見てみてみましたが、こんな感じの楽器でした!さすがにお詳しいですねえ。

> サクソルン・コントルバスもこれの巨大化した形だったら

正直、遠すぎて詳細は判りませんでした。でもベルが大きく拡がったTubaという外観以外に、あれ?と感じることはなかったように思います。

♪♪♪

いやー、ストリング・ベースと混ざったサウンドは本当に心に響くものがありました。
いつか貴兄も聴いてみて下さいね!

投稿: 音源堂 | 2007年11月11日 (日) 00時36分

書き込みが遅くなってしまいましたが・・・

アンコール5曲あったのか、いいなぁ・・鹿児島では「熊蜂の飛行」と「カルマニョール」の2曲でした。
でも私はリハーサルから見ることが出来て、私服姿の団員を見るのも中々新鮮な気がして興味深かったです。

ナカリャコフのTpは、個人的には少しコルネットに近い響きを感じたのですが、クルトワの楽器はああいった響きがするのでしょうか?それとも彼の技量でそういう音作りをしているのか・・どちらかは定かでありませんが、音質は好みの分かれる所でしょうけどかなりの技巧の持ち主であることは確かだと思います。

クルトワのTbほしいな~。でも高いな~。

投稿: mitakasyun | 2007年11月15日 (木) 21時40分

mitakasyunさん、どうもです!

アンコール5曲は目一杯!でしょう。ラデツキーが終わって拍手を受けたら、意を決したようにブーランジェはコンマスの腕を引っ張っていっちゃいましたから。^^)でも、ブーランジェ自身も大変ご満悦であったように見えました。

ナカリャコフのトランペット、例えるならヴァイオリン・ソロを聴いているような、不思議な印象でした。私の持っている”ラッパ”のイメージとは全く違いましたね。

♪♪♪

とにかく、今回はギャルドの「次元の違う吹奏楽」が生で聴けて幸せでした!また来てくれるといいんですが・・・。

投稿: 音源堂 | 2007年11月15日 (木) 22時03分

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