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2007年9月 5日 (水)

アウェイデー

Adam_gorbAwayday
A.ゴーブ
(Adam Gorb 1958- )







作曲者アダム・ゴーブ(冒頭画像)はイギリス/ウェールズのカージフ生まれ。10歳から作曲を始め、ケンブリッジ大学やロンドン王立アカデミーで研鑽を積み、現在はロイヤル・ノーザン音楽大学で教鞭を執っている。
この「アウェイデー」1996年、同音楽大学のシンフォニック・ウインド・アンサンブルとその指揮者ティモシー・レイニッシュの委嘱により作曲されたものである。

ゴーブの作風は大変モダンで都会的なムードを持つ。吹奏楽での代表作として「メトロポリス」(Metropolis/1994年ウォルター・ビーラー作曲賞受賞)が挙げられるが、これをはじめとする彼の作品群の中で、際立って明快な音楽なのが「アウェイデー」である。そしてそれゆえに、最も広く親しまれている。

♪♪♪

Awayday_ticket「アウェイデー」とは、もともとイギリス/British Rail社が発売している、行楽旅行者用の日帰切符のこと。

右画像: Awayday Ticket の例


これから転じて、イギリスでは通常の職場を離れた会合などを指して”Awayday”という言葉を使うらしい。

  ※アメリカに長く育った友人によれば、Awaydayと聞いて、「お出掛け
       で不在の日」というニュアンスは判るものの、アメリカでは使わない
       言葉だそうだ。発祥からしてもイギリス固有の言葉なのであろう。


作曲者ゴーブ自身のコメント。
「この6分ほどの演奏会の幕開けにふさわしい楽曲の作曲にあたり、インスピレーションはアメリカのミュージカル・コメディが栄華を極めた時代からもたらされた。
私はこの短いソナタ形式の楽曲の中で、しばし日常の全てから解き放たれた、休日の楽しい気分を表現しようとしたのである。
音楽的に言えばこの作品は、はちきれんばかりの活気と、抑えきれない気炎とに溢れていた、かつてのブロードウェー・ミュージカルへのオマージュ。
ジョージ・ガーシュウィンやレナード・バーンスタイン、イゴール・ストラヴィンスキーにジェームズ・ボンドがみんな一緒にオープン・トップのスポーツカーに乗り、時速100マイルの猛スピードでぶっ飛ばしている様子をご想像できるなら、この曲のことは判っていただけるのではないだろうか。」


  ※作曲者HP

♪♪♪

冒頭は3/2拍子(2小節目から2/2拍子)、Presto (Tempo:144)。サクソフォーン・セクションを除く全合奏の鋭い打ち込みに始まる。

(記譜上ドラムセットの使用は明記されていないが)リズムはドラムセットが刻んでいく楽曲であり、カウベルなどのラテン・パーカッションも含む多彩なパーカッション群が大活躍するほか、ピアノも重要な役割を果たす。リズムのみならずサウンドや和音も、まさにジャズの世界そのもの。そして変拍子の使用によりテンションを高めつつ、終始 Presto でグルーヴしていくのだ。
ビートが前面に出たかと思うと、サブリミナルになり、また前面に出て- とその変幻ぶりも聴きどころである。

序奏部を終えると直ぐ、全曲を通じて奏されるリズムパターンがTrb.ソリに現れる。
Awayday001
この伴奏に載って、木管群が快活な第1主題を歌いだす。リズミックでスピード感のあるフレーズは、非常に開放的なイメージを齎す。
Awayday003
続いてサクソフォーンに現れる第2主題はたおやかで夢見心地。Presto のスピードを保ちつつ、快活な第1主題と絶妙の対比を成す。
Awayday002_2
この2つの主題を、自在に展開させながら疾駆して行くのだが、中でも特に Tenor Sax の8分音符音型に始まる部分(182小節~)は圧巻!
Awayday004
ここは”あざとい”ほどの達者さが要求されるが、それを見せることが出来たら、聴衆の眼前にはゴーブの描いた情景がありありと浮かぶだろう。そう、ハイウェーを高速のスポーツカーがかっ飛んで行くさまが・・・。

そして、頂点でエキサイティングなパーカッション・ソリ。
その鮮烈さに呼び戻されて再現部となる。一旦静まるものの、各声部は徐々に激しく絡み合って、抑制されていたエネルギーもぐんぐん高揚、遂には炸裂するクライマックスへ!

コーダは冒頭序奏部の再現から、熱狂を緩めることなく終幕へと突き進んで行く。

♪♪♪

Awayday_cd音源は6種類保有しているが、私としては何といっても
ユージン・コーポロンcond.
ノーステキサス大学
ウインドシンフォニー

の演奏を推す。
作曲者意図通りのスピード感を持ち、”あざとい”メカニックを存分に示している点で圧倒的であり、他の追随を許さぬ快演である。
より立体的な演奏が望まれる部分(356~358小節のHornとTrp.の応酬など)も若干あるが、件のパーカッション・ソリも実にカッコ良く仕上がっており、楽曲の魅力を充分引き出していると云えよう。

<その他の所有音源>
  ダグラス・ボストックcond. 東京佼成ウインドオーケストラ
  トーマス・フォリーcond. アメリカ海兵隊バンド
  レイ・クレーマーcond. 武蔵野音楽大学ウインドアンサンブル
  クラーク・ランデルcond. ローヤル・ノーザン音楽大学ウインドオーケストラ
  ジョン・P・リンチcond. ジョージア大学ウインドアンサンブル


(Revised on 2010.5.23.)

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コメント

 ありがとうございました。
たいへん参考になりました・笑

投稿: すぎ | 2007年9月 6日 (木) 00時01分

こんにちは。ブラスト行かれたんですかぁ。いいなぁ。チケット高いんですよねぇ。

AWAYDAY、独特なリズムでノリノリの洒落た曲くですよねぇ。ベースのリズムが小気味良い感じ♪

2/3くらいのところでドラムやパーカスのセッションが盛り上がるところカッコイイ(^_^)v

へぇ、こんなキップがあるんですか。日帰り旅行くらいの意味しか知りませんでした。

私のはCHANDOSから出てるRoyal Northern College of Music Wind Orchestraの演奏ですが、なんとなくおとなしい感じなので、もうちょっと華やかさが欲しいところですね。(^_^;)

投稿: Junco | 2007年9月 6日 (木) 23時08分

聴きました!
作曲者のコメントがまたイっちゃってますね。想像できる人あんまりいないと思います(笑)。
楽譜を見るのが楽しみですが、シンフォニック・ファンファーレのゴォーという感じとこの曲をうまく切り替えられるか心配です。というか、スタミナがもつかどうか。。。

投稿: くっしぃ@サウジ | 2007年9月 7日 (金) 06時22分

すぎ先生
この曲を先生に振っていただくのというのはピッタリだと思います。(もちろん自作を振っていただくより「ピッタリ」なものはないとも思いますが・・・^^;)
どうぞ宜しくお願い致します。

Juncoさん
ブラスト・・・色んな意味で凄かったし、チケットの高いだけあると思いました。(招待いただいたのは実に幸運でした♪)でも、マーチング(広義の意味で)は、やっぱり私のやりたいこととは違うなあ、と思わされた経験でもありました。
Awaydayですが、RNCMのCDは私も喜び勇んで買いました。・・・でもやっぱりノース・テキサスを聴いていただきたいですね。ぜひ!

くっしぃ殿
楽しいんですが、難しいですね。とにかく”時速100マイル”は絶対出さなきゃダメですからね。
Bass Trb.の譜面は、非常にバストロらしくてイケてます。他の楽器についてもその音色や特徴の生かし方が「際どくて」イイと思います。なかなか実演では難しい面もありますが、ゴーブの意図には大いに共感できます。

投稿: 音源堂 | 2007年9月 7日 (金) 09時46分

数年前にまとめて売り払ってしまった東京佼成のCDに入っていました…メトロポリスもシエナ版を所持していましたが、今はもうありません…売るんじゃなかったと後悔しています。
手元にあるゴーブの音源は、アドレナリン・シティーのみとなってしまいました。
アウェイデーのノリノリのリズムは中毒性バツグンで好きでした。ノーステキサスの録音は当時からチェック漏れてました〜。機会があれば探してみたいです。

投稿: ジュリアン | 2016年9月 8日 (木) 20時49分

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