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2007年5月13日 (日)

英雄行進曲

Photo_363Marche Heroique
C.サン=サーンス 作曲
Charles Camille Saint-Saens

18351921
藤田
 玄播 編曲
Genba Fujita 1937

「交響曲第3番”オルガン付”」「動物の謝肉祭」「死の舞踏」「歌劇”サムソンとデリラ”」等で有名なサン=サーンス1871に作曲。当初は2台のピアノのために作曲された作品であったが、直ちに管弦楽編曲され同年12月に初演。
サン=サーンスは親友、画家アンリ・ルニョー
Henri Regnault) の想い出のためにこの曲を作曲した。ルニョーは当時勃発していた普仏戦争で1870年に戦死してしまったのである。

Photo_365サン=サーンスと吹奏楽の接点としては、上述の代表作がトランスクリプションされて演奏されるほか、「東洋と西洋」(
Orient et Occident  1869というオリジナル作品もある。これは吹奏楽の最高峰ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団のために作曲されたもので、”大行進曲”と銘打たれた作品だが、これも普通の行進曲とは趣を異にする個性的な作品だ。また、J.ヴァン=デル=ローストの「オマージュ」(Homage)やJ.カーナウの「セレブレーション」(Celebration)はサン=サーンスの「交響曲第3番”オルガン付”」の主題を元にした吹奏楽のオリジナル曲である。

♪♪♪

「英雄行進曲」も古くから吹奏楽にトランスクリプションされて演奏されている。一方、管弦楽で演奏される機会は乏しく、録音も少ない。従って吹奏楽曲としてご紹介する次第である。
もともとギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団全盛期のレパートリーの一つであり、
1961年の初来日の際にも演奏されたが、このギャルドの名演が「英雄行進曲」の人気を高めたと思われる。編曲者・藤田 玄播も、この演奏を聴いて共感し「英雄行進曲」の編曲意欲をかき立てられたのだという。
※尚、F.ウインターボトムによる編曲もあり、一般にはそちらの方が流通していると思われる

近年では吹奏楽での演奏機会も減っているが、大変素敵な曲で、末永く演奏されて然るべきである。
殊に中間部に登場する優美で朗々たるトロンボーン・ソロは、実に印象的な名ソロ!管弦楽原曲もトロンボーンのソロとなっているのだが、サン=サーンスがこんなに魅力的なソロを遺してくれたことには、トロンボーン吹きとして感謝したい気持ちでいっぱいだ。
Photo_2



曲は行進曲らしく三部形式。
Allegroに挟まれた中間部のアンダンティーノに件のトロンボーン・ソロが登場する。

♪♪♪

冒頭のユニゾンは「行進曲」としては珍しく、原曲では弦楽器のサウンドで始まる。この渋さを藤田吹奏楽版も再現している。
1



この短い序奏のあと、小気味良い主部に入る。
2軽快でリズミックな部分と、濃厚でシンフォニックなサウンドの部分が掛け合うようにして前半のクライマックスへ向かう。
3やがて優美さを湛えて静まり、お待ちかねの中間部=Andantino、3/4拍子である。Harpと木管楽器の伴奏に導かれ、トロンボーンが哀愁に満ちた美しい旋律を、しかし誇らしげに歌う。他の楽器群に引き継がれ歌い上げられるこの旋律こそが、この曲最大の聴き所となっている。

後半部Allegroは、はたと深刻で憂いに満ちたムードのブリッジを挟んで前半部分の再現部へ続く。前半部の音楽が更にスケールの大きな豊かな響きとなって繰り返され、最後はテンポを捲くって力強い終幕を迎える。

小品ながら、気品のある旋律とシンフォニックなサウンドが大変魅力的な楽曲である。

♪♪♪

音源は吹奏楽版として
藤田 玄播cond. 東京佼成ウインドオーケストラ
の演奏(冒頭画像)をお薦めする。知らない方、特にトロンボニストにはとにかく聴いてみて
いただきたいと思う。

Photo_368_2尚、管弦楽版は
シャルル・デュトワcond.
フィルハーモニア管弦楽団

の演奏を挙げさせていただく。オケ版の録音も少ないのだが、この録音を聴いてみて改めて素敵な曲だと認識させられた。

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コメント

軍隊行進曲も素敵だけれど、これは知らないなぁ。

Tbソロのメロディ、マーチなのに3拍子なんですね。サンサーンスらしい優雅な香りが。これは聴いてみたいなぁ。

ところで、いつも思うんですが藤田玄播さんってなんか時代劇の悪役みたいな名前ですね。(^o^)

投稿: Junco | 2007年5月14日 (月) 23時40分

>これは聴いてみたいなぁ。

こう仰っていただくのが一番嬉しいです。
このブログの目的はそれですから。

藤田 玄播・・・近いうちに「天使ミカエルの嘆き」を採り上げたいと思っております。大好きなんです、あの曲。

投稿: 音源堂 | 2007年5月15日 (火) 09時38分

半年ほど前、オーケストラで演奏したことがあります
(メインはオルガン付き!他にボレロも…)。
音域的に実にちょうどいい、自分に酔える譜面ですね。その直前、ボレロのソロで失敗していたので、少しは挽回できたかと…。

投稿: bob | 2009年6月22日 (月) 14時29分

bobさん、ようこそお越し下さいました。
「英雄行進曲」はもはや吹奏楽で演奏されることの方が多い曲だと思いますので、管弦楽での演奏機会は非常に貴重ですね。ぜひ生で聴いてみたかったです。
「ボレロ」に加え、あえて「英雄行進曲」を採り上げるあたり、貴楽団のbobさんに対する信頼の高さが窺えますね。素晴らしいことだと思います。

投稿: 音源堂 | 2009年6月22日 (月) 17時21分

ワールドレコードから入手した、今津中学校のコンクール実況録音盤で聴きました。トロンボーンのソロは中学生とは到底思えない演奏でした。

投稿: yoshi | 2010年12月25日 (土) 22時34分

yoshiさんコメントを有難うございます。

昔、コンクールの演奏を聴いていると「バケモノ」が結構居ました。西部(現九州)大会銀賞なんていうレベルでも居ました。Tromboneで云えば、現在都響にいらっしゃる古賀さんなんかがそうです。そんな方だとは後で知ったのですが、彼らが西部大会で演奏していた「タンホイザー序曲」のあの旋律、Tromboneの音が突き抜けて”立って”いました。

今津中の昔の録音を聴くと、そうした「バケモノ」の皆さん(変ですね^^)の音を数多く聴くことができますよね。つくづく驚異的なバンドだったのだと思います。

投稿: 音源堂 | 2010年12月26日 (日) 09時46分

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