ルパン三世のテーマ
Theme of
"Lupin the 3rd"
大野 雄二
(Yuji Ohno 1941-)
「ルパン三世」という漫画作品が誕生したのが1967年。
(「週刊漫画アクション」連載/原作 モンキー・パンチ)
2007年にはちょうど40周年となるのを記念し、”Lupin the Best”(冒頭画像)というCDも発売された。
原作コミックは所謂アメリカンコミックの影響を受けた個性的な絵柄で、本作を広汎かつ恒久的な人気作品に押し上げたアニメ版より、一回りも二回りもアダルトな作品であった。
アニメ版の登場は1971年で、これはターゲットを大人に設定していたため、今一つウケなかったそうだ。私の一番古い記憶もこのアニメ版第1シリーズである。田舎では首都圏より大きく遅れて放映されたのだが、確かに友人(小学生)の間では話題にもなっていなかった。※
※尚、このアニメ版第1シリーズの音楽担当は山下 毅雄であり、本稿で採り上げた「ルパン三世のテーマ」の作曲者(大野 雄二)とは異なる。
ただ、個人的には好きで欠かさず見ていたが・・・。「オトナ」な感じに、見ているだけでなんとなくイケナイことへの「踏み越え」感があったのだ。
(小学生のくせに、原作も読んでみたりした!)
登場人物は全部オトナ、峰 不二子なんて全くもって日本人離れしたプロポーション!「色気」なんて本当の意味でわからなくたって、なぜかドキドキ。別に不二子だけじゃなく、「ルパン三世」のキャラクター、ストーリー、気の利いた小道具、スピード感、漫画的なブッ飛び方など全てに、「大人の世界っていいな~。」と憧れた。
それがターゲット年齢を下げた第二シリーズで大ブレイク!(それでも当時のアニメとしては格段に「オトナ」だったけど。)
当時、私は中学生であったが、学習雑誌にすら「ルパン三世」特集が載っていたほどである。
しかし、私にとって最高だったのは中学生の時に見た最初の劇場用作品「ルパンvs複製人間」。”初期の頃の大人向けのルパンが見たいという声にお応えします。”という製作趣旨通りのオトナな娯楽作品だった。
(後の「カリオストロの城」の方が遥かに世にウケたわけだが、これは本来の「ルパン三世」とは違う作品だし。)
♪♪♪
「ルパン三世のテーマ」は、世代を超えて本当にウケる。どこか非合法な、そしてオトナのいけない感じがある曲想になっているのが不思議で、この音楽自体が完全に日本人なのに日本人離れした・・・そう、峰 不二子みたいな楽曲である。
(歌詞のある歌版もあるが)インストゥルメンタルであるにもかかわらず、これほど幅広い年齢層に訴求する楽曲はそうそうあるまい。ウチの子供たちも大好きだ。
作曲者の大野 雄二というヒトはジャズ・ピアニストであり、バリバリの”そっちの人”である。他にも「ルパン三世愛のテーマ」や「Love Squall」など、日本人離れした楽曲がイカしてる。
「ルパン三世のテーマ」はどのヴァージョンもホーン・セクションをふんだんに使い、それぞれに味があるのだが、特に本格的なFast Swing にしてVibraphone ソロをフィーチャーした”Lupin the 3rd '80”は評価が高い。演奏するYou & Explosion Band も「日本で最高水準のミュージシャンを惜しげなく登用した」とされ、ハイレベルな演奏を聴かせてくれる。大野 雄二はYuji Ohno & Lupintic Five などで引続き精力的に活動中である。「ルパン三世」とともに、この「ルパン三世のテーマ」も永遠のものとなったのだ。
※こんなにカッコイイ音楽を聴かせるのに、前述の「ルパンvs複製人間」のエンディングは・・・二人三脚で逃げ出すルパン三世と銭形警部のバックに流れる”ルパン三世音頭”
(ど演歌。歌=三波 春夫、これも大野 雄二作品^^)!
・・・ギャップが凄いっ。この洒落も「オトナだなー。」と思わされた。
♪♪♪
吹奏楽界の方々、もしもお聴きでなければ、NEW SOUNDS IN BRASS の録音ではなく、ぜひYou & Explosion Band の演奏で「ルパン三世のテーマ」を聴きましょうよ。
やっぱ、違うよ。
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