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2007年2月21日 (水)

パストラーレ

Photo_268Pastorale
C.ウイリアムズ
James Clifton Williams
1923
1976



「エキサイティング」「壮大な」「堂々たる」「重厚な」といったイメージの強いクリフトン・ウイリアムズだが、彼の作品の中でも異色の作品がこの「パストラーレ」(
1957である。
ウイリアムズは力強く非常に安定したサウンドと、発散性の高い明快な曲想のイメージが強いが、管打楽器の機能を知り尽くしそれを活かしきる彼の手腕が、この「パストラーレ」ではまた別の面で発揮された。実にたおやかで美しい音楽であり、貴重な存在といえる。
吹奏楽曲全体からみても異色であり、吹奏楽はこうした作品にも、もっと取り組んでいかなければならないと思う。

♪♪♪

静かで荘厳なチャイムの響きに続いて、どこまでも柔らかな金管のアンサンブルで曲は始まる。そして敬虔な雰囲気のクラリネットのソロから、深く静かに音楽が歌いだし、コールアングレをはじめとする各楽器の音色が深遠なサウンドに映える。

やがて緑の平原に近づいてくる嵐。不安気な
12/8拍子は扇情的であり、旋律に絡むOboeのソリが美しい。
Photo_276音楽は徐々にテンポを速めつつ高揚し、クライマックスの一点を目指す-。

ここでの雷鳴の轟きのような高音楽器群とそれに呼応する低音のカウンター、鮮烈な打楽器が与える感動は、深く心に刻み付けられるのだ!

ドラを伴った全合奏の一撃がおさまると、まるで何事もなかったかのように、元の幻想的なムードへ。
-あれは夢だったのだろうか・・・。
そんな思いを抱かせつつ、静かに曲は閉じる。

♪♪♪

音源は
フレデリック・フェネル
cond.
東京佼成ウインドオーケストラ
のもの(冒頭画像)しかないが、文句なしの秀演。

吹奏楽の演奏会に、このタイプの曲が
1つ入れば、ぐっと奥行のあるプログラムになると、私は常々思っているのだが・・・。こうしたタイプの楽曲は非常に少なく、また実際に採上げられることはもっと少ない。この状況は真剣に憂うべき問題である。

♪♪♪

ところで、「牧歌」を題した音楽では、管弦楽作品で大好きなものがあるので、ご紹介しておきたい。
アルテュール・オネゲル
(Arthur Honegger
 18921955)作曲の
「夏の牧歌」(Pastorale d'Ete 1920
である。

オネゲルと言えば「パシフィック
231」や「交響曲第3番”典礼風”」といったフランス音楽にしてはいかめしい作風(そこが魅力でもある)の印象があるが、本作は彼の極く初期の作品で判りやすい。

夏の気温と、その中での涼けさを静かに感じさせるこの「夏の牧歌」は、とても幻想的で安寧な音楽である。中間部の透明感のあるサウンドと、木管楽器によるうれしげで軽やかな歌もまた楽しい。私は特に、冒頭の
Hornソロが実に味わい深くて大好きだ。
Photo_2Photo_269音源は
ジャン・マルティノン
cond.
フランス国立管弦楽団

を挙げておく。こちらもぜひどうぞ。
(この曲、吹奏楽の世界に持ち込んでも、面白いかもしれない。)

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