« ドラゴンの年 | トップページ | ヤマ・ミドリ »

2007年1月31日 (水)

タンタン -太陽の神殿-

CdTINTIN
Prisoners of the Sun
D.ブロッセ
作曲
(Dirk Brosse 1960-) 
J.デ=メイ
編曲
(Johan de Meij 1953-
)

I.  序奏:太陽の神殿~インカ皇帝ラスカル・カパック
     Prisoners of the Sun - Rascar Capac
II. キャンプファイヤーが燃え盛るとき
     When the Campfire is Burning
III.教授のワルツ The Waltz
of the Professor's
IV.友情よ、どうか永遠に Friendship Forever and Ever
V. 業火 The Pyre
VI.太陽、終曲 The Sun, Finale

標題の「タンタン」とは、邦題「タンタンの冒険旅行」(日本語版/福音館書店刊)のこと。ベルギーで1929年に誕生したコミックだ。
作者エルジュ(
Herge 1907-1983は全24巻の「タンタン」シリーズを世に送り出したが、これは全世界で翻訳され、その人気も世界的である。

くるんと跳ね上げた前髪とニッカポッカの特徴あるスタイルの少年記者タンタンと、愛犬スノーウィ(ホワイト・フォックステリア、原典名Milou)の世界を股にかけた冒険を描く。
Tintin_3各界の著名なクリエーターたちに影響を与えており、中でもジョージ・ルーカスが代表作「インディ・ジョーンズ」について、「タンタンの冒険物語をコンセプトにしている」と明言したエピソードは有名。
フルカラーでびっしりと書き込まれたこのコミックは、今読んでも非常に面白く、また絵柄や彩色も決して古びていない。ハドック船長やビーカー教授といった脇役たちも大変ユニークで、時代を超えて世界中にファンがいるのも全く不思議でない。


   ※尚、日本版は原典版と出版順が異なっているので、注意。
2007年12月に
          「タンタンとピカロたち」「タンタンとアルファアート」が刊行され、遂に日本
         
語版でも全24巻が出揃った。
  ※「タンタン」公式サイト(日本)


Photo_246Photo_245この「タンタン-太陽の神殿-」は、同名ミュージカルの音楽を抜粋し、ヨハン・デ=メイが吹奏楽に編曲したもの。
2001
9月にベルギーで上演されたこのミュージカルは「タンタンの冒険旅行」シリーズの13”ななつの水晶球”Les 7 Boules de Cristal/日本語版第6巻)および14”太陽の神殿”(Le Temple du Soleil/日本語版第7巻)に連なるストーリーを元としている。

音楽を担当したディルク・ブロッセは「エル・ゴルペ・ファタル」「7インチのフレーム」などのダイナミックな作風で、吹奏楽界でも高名な作曲家である。

♪♪♪

13_top原作のストーリーは
インカの遺跡を発掘した考古学者たちが、帰国後、次々と不思議な発作に襲われ、タンタンたちの目の前で最後の犠牲者が・・・。はたして、神聖な墓所を汚されたインディオの呪いか?」

(ななつの水晶球)





14_top「ペルーの奥地で今なお古代インカ帝国の法を守り太陽神をあがめる末裔たち。前作(ななつの水晶球)で誘拐されたビーカー教授は、その太陽の神殿で生贄にされようとしていた。そしてタンタンたちも・・・。」


(太陽の神殿)


   出典:福音館書店サイト



エキゾティックな中南米を舞台とした神秘的なストーリーと、タンタンたちに降りかかる苦難、危機。そしてタンタンの機転による大団円、という冒険物語である。

♪♪♪

Score楽曲は大変親しみやすく美しい旋律と、劇的なクライマックスを持つ。場面を描写する各曲の対比も見事だし、HarpやPianoの音色も映えるなど色彩感も素晴らしい。


(尚、本楽曲の標題”
Prisoners of the Sun”は「太陽の神殿」英語版の標題を踏襲したもの。これは原作の直訳とはなっていない。フルスコアの表紙(左画像)からして、完全にタンタンづいている^^)




.序奏:太陽の神殿~インカ皇帝ラスカル・カパック 1_2
地鳴りのようなクレッシェンドで始まる壮大なオープニング。続いてグリッサンドを効果的に使った
Trb.の不気味なフレーズが聴こえ、やがて不安げなムードをもったTrp.の楽句が近づいてくる。エキゾティックさを加えて高揚した音楽は、ドラの一撃とTimp.、Pianoの響きで締めくくられる。

II.キャンプファイヤーが燃え盛るとき3_3
ひととき、穏やかな野営の風景。Pianoの伴奏でEuph.ソロが伸びやかに歌う。


III.教授のワルツ
ビーカー教授の洒脱なワルツ。
4ビーカー教授は原作では
Tournesol=ひまわりという名前で、耳が遠いのか話を聞いていないのか、とにかくトンチンカンな人物だが、原子力ロケットや潜水艦をも発明する天才科学者である。そのユニークさ、愛らしさを感じさせる優しい音楽。

IV.友情よ、どうか永遠に
コールアングレ+ホルンの優美な旋律が印象的。5
クライマックスでは
Trp.の高らかなファンファーレも絡み、存分に歌い上げていく。

V.業 火
一転して、インカの末裔たちに捕らえられたタンタンたちの身に”火あぶり”の危機が迫り来る場面を描く。
6全曲中最もエキゾティックでエキサイティングな音楽であり、早まっていく民族的なリズムとともに、緊迫が一点をめがけて高まっていく。


VI.太陽、終曲7

危機は去り、穏やかで美しい旋律が戻ってくる。この終曲では、
Trp.のテンションの高い音色が実に効果的に使われていることに注目したい。
徐々にスケールの大きな音楽となって、文字通りの劇的な大団円となるが、そこでも効いている
Trp.のハイトーンが聴きものである。

♪♪♪

確りとした構成感と品格をも備え、実に感動的なこの曲。既に全日本吹奏楽コンクールでも
採り上げられるなど知名度が上がってきているが、もっともっと演奏されていい。

D音源は作曲者ブロッセ(左画像)の指揮による大阪市音楽団のライヴレコーディング(冒頭画像)をお薦めする。非常にメリハリのある好演で、この曲の魅力が充分に伝わるはずだ。
尚、このアルバムの演奏は全体に出来が良い。ブロッセは指揮者としての活躍も盛んであり、その次回作にも期待したい。


 【その他の所有音源】
    ティメン・ボトゥマcond. JWFミリタリー・バンド


(Revised on 2011.1.12.)

|

« ドラゴンの年 | トップページ | ヤマ・ミドリ »

コメント

今度部活で演奏するので助かりました。

投稿: 無空 | 2008年5月28日 (水) 21時10分

無空さん、当Blogにお越しいただきありがとうございました。お役に立てたなら嬉しく思います。

「タンタン」シリーズはお読みになられましたか?元々新聞に連載されていたため、字がぎっしり細かいのが玉に瑕ですが、ポップで綺麗な画と、ストーリーの面白さはなかなかのものです。ぜひご覧になってみて下さい!

ブロッセの音楽も大変チャーミングです。やりがいがある作品と思いますので、どうぞ素敵な演奏をして下さいね!

投稿: 音源堂 | 2008年5月29日 (木) 10時44分

明日、東京都吹奏楽コンクールで演奏します!
とてもいい曲です(*^ω^*)ノ彡
感動します!!
中学生にとっては難しい曲なのですが、一生懸命頑張りたいと思います☆彡
長々とすみませんでした(ノ_-。)

投稿: Mayu | 2009年8月 4日 (火) 20時28分

Mayuさん、ようこそお越し下さいました。
明日がコンクール本番ですか!頑張ってタンタンワールドを会場いっぱいに響かせてくださいね。Mayuさんが感じたこの曲の感動が、Mayuさんたちの演奏を聴いた人たちにも伝わることを祈っています。
>長々と
全然そんなことないですヨ。またぜひいらして、コメントして下さいね☆

投稿: 音源堂 | 2009年8月 5日 (水) 00時36分

こんにちは!!!!!
私は、今年コンクールでやります。
中学生では、TPの最後のところが、
やっぱりそう簡単にはできません(汗)
でも、がんばります!!!!!

投稿: may | 2010年6月12日 (土) 20時56分

mayさん、ようこそお越し下さいました。
そうですね、いよいよコンクールの季節ですね。「タンタン」は自由曲に向いていると思います。メロディも素敵ですし、クライマックスは感動しますよね!
単なる「伸ばし」でも、Trp.が音楽に与えるテンションは素晴らしいでしょう?大変ですが頑張って下さい。そして何より、楽しんで下さいね。コンクールで納得の演奏をされますよう、お祈りします。
また遊びに来て下さーい♪

投稿: 音源堂 | 2010年6月13日 (日) 12時22分

今年のコンクールでやるので
色々知る事ができ助かりましたlovely
それぞれの場面にこんな意味があったなんて(*A*_)♭

初めてのコンクール頑張ります(^^#)ノシ

投稿: みおとも♪(トランペット) | 2011年1月 5日 (水) 10時00分

みおとも♪さん、お越しいただきまたコメントも頂戴し有難うございます。
この「タンタン」ですが、私も実際に演奏してとても感動的な音楽体験が得られた楽曲です。”歌”が素晴らしいですし、吹奏楽の醍醐味とも云える充実した響きを随所に味わうことができました。この曲が「判りやすい」のは単純だからではなくて、音楽として充実しているからだと私は思うのです。

原作「タンタンの冒険旅行」シリーズも楽しいですよ!ぜひこの機会にそちらにも触れられては如何でしょう。

投稿: 音源堂 | 2011年1月 5日 (水) 11時23分

初めまして(。・ω・)
中学校の吹奏楽部でトランペットをやっているsnowです☆
中2です★
今年のコンクールでこの曲を演奏させていただきます!!
この曲とっても大好きです(≧∇≦)

私的には業火の場面が1番好きです((w´ω`w))
去年はおしくも県大会に出場することができなかったので・・・
今年は先輩たちの分までガンバって絶対にこの曲で県大会に出場したいと思います!!!

長文失礼いたしました(;ω;)

投稿: snow | 2011年3月 6日 (日) 19時39分

snowさん、ようこそお越し下さいました!コメントを有難うございます。”太陽の神殿”とってもいい曲ですよね。原作「タンタン」の大ファンでもある私は、ブロッセがこんな素敵な音楽を「タンタン」に寄せてくれたことが本当に嬉しく思えます。
コンクール、素晴らしい演奏ができますようお祈りしています☆またお越し下さいね!

投稿: 音源堂 | 2011年3月 6日 (日) 22時55分

娘の中学が「TIN TIN」を今年のマーチングバンド・バトントワリング全国大会で演奏演技します。
夏前から半年、この曲と共に歩んできました。部員みんなが「TIN TIN」大好き!
12月17日、純白のステージで、76人にしかできない最高の演奏演技となることを保護者一同心から願っています。原作者エルジュと作曲者ブロッセに届けマーチング「TIN TIN」!!

投稿: ChalleMaMa | 2011年11月26日 (土) 21時49分

ChalleMaMaさん、コメントを有難うございます!
お嬢さまたちの「Tin Tin」がさいたまスーパーアリーナの会場いっぱいに素晴らしいパフォーマンスとともに響きわたりますよう、お祈り申し上げます。

折りしもこの冬「タンタン」は自身「タンタン」の大ファンと公言してきたスピルバーグ監督によって遂に映画化され公開されます。このブロッセの音楽、そしてエルジュの原作ともにとても素敵ですので、映画化を機にさらに子供たちにこれからも広く愛されていくことを願って已みません。

(それにしましても、お嬢さまを熱く応援なさるお気持ちが伝わってきて、とても羨ましく思います。私の息子たちは2人とも私の音楽に対するエキセントリックな入れ込みにドン引きになっておりまして、跡を継いではくれませんでしたので…。^^;)

投稿: 音源堂 | 2011年11月26日 (土) 22時32分

応援本当にありがとうございます。
衣装・フラッグ・小道具・プロップ、何一つ業者発注はなく、全てが手作り。子供達、保護者、ご指導頂く先生方の総力を結集した作品です。

母達だけでなく、大道具制作で新しい仲間を得た父達は「娘や息子の部活で一緒に泣けるなんて最高!」と言います。子供達だけでなく、音楽との出逢い、絵本も含め、素晴らしい作品にめぐり逢えたことに感謝する毎日です。

「TIN TIN」が今年の大会曲に決まった際、先生方がこちらのブログをプリントアウトして下さいました。また、許可を頂かずに部員専用ブログにリンクを張らせて頂いたことを深くお詫び致します。
「TIN TIN」への熱き思いに溢れたブログと出会えた事にも心から感謝しております。

応援して下さるたくさんの方々への感謝をこめて、当日、タイトルではなく、自分達の「TIN TIN」をやりきった涙を体験してくれることを願って已みません。

投稿: ChalleMaMa | 2011年11月27日 (日) 09時36分

ChalleMaMaさん、ご丁寧にありがとうございます。私と致しましては、少しでもお役に立てたのでしたらこれほど嬉しいことはありません。
お嬢さま方にこれからも素敵な音楽との出会いと、それを楽しむ喜びがあり続けるよう願っております☆

投稿: 音源堂 | 2011年11月27日 (日) 15時52分

来月、母校の高校の演奏会で演奏する事になり、調べていてこちらに辿り着きました。

漫画「タンタン」は知っていましたが、まさかあの軽妙洒脱な漫画がミュージカル化でここまでドラマティックで激しい曲になるとは!
さすがブロッセ〜デ・メイと言ったところでしょうか。

私も全盛期から4半世紀を迎え、スタミナもないので「飛び道具」扱いになると思いますが、我が子のような後輩とエキサイティングな時間を過ごしたいと思いました。

貴重な資料、誠にありがとうございます。

投稿: Schagerl | 2012年4月13日 (金) 18時41分

Schagerlさん、ようこそお越し下さいました。仰るとおりでこの「タンタン」の音楽は明快でありながら音楽的なドラマチックさに富んだ秀作だと思います。旋律も魅力に満ちたもので、聴いていても、演奏していても実に楽しい楽曲です。

どうかこの曲を存分にお楽しみ下さい!演奏会のご盛会をお祈り致します。

投稿: 音源堂 | 2012年4月15日 (日) 00時54分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/181124/13724429

この記事へのトラックバック一覧です: タンタン -太陽の神殿-:

« ドラゴンの年 | トップページ | ヤマ・ミドリ »