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2006年12月28日 (木)

シンフォニア・フェスティーヴァ

Photo_203_2Sinfonia Festiva for Band
A.ラニング

Arne Running 1943-)
I. Fanfare   II. Aria   III. Toccata




Arunning作曲者アーン・ラニング(右画像)はフィラデルフィア管弦楽団でも演奏するなどクラリネット奏者として活躍した人物だが、1976年に「吹奏楽のためのコラールと綺想曲」(Chorale and Capriccio for Band)で本格的な作曲活動をスタートしている。
作品数自体は多くはなく、吹奏楽曲としてもほかに本稿で採り上げる
「シンフォニア・フェスティーヴァ」(1980が知られているのみである。しかしながら、ラニングはこの1曲で吹奏楽界に強い存在感を示したと言って良い。手法はオーソドックスな部類に属するが、確固たる個性があり訴求力の強い、興味深い楽曲となった。

Arne Running HP


作曲者意図通り、ドラマティックでパワフルな”ファンファーレ”、暖かく抒情的な”アリア”、リズミックで輝かしい”トッカータ”の
3つの楽章の対比が、とても映えている。

♪♪♪

楽曲の内容は、フルスコアにある作曲者自身の解説が端的に表しているので、これをご紹介する。(ラニングはスコア表紙の装丁も自身で手掛けるなど、なかなか多才な人のようだ。)

I. ファンファーレSfestiva_1_4
「最初の”ファンファーレ”は金管楽器と打楽器の力強い”宣言”に始まる。木管楽器は激しくそして輝かしい、渦巻くようなアレグロのパッセージでこれに割り込んでくる。クライマックスでは、全合奏による精力的な長三和音の打込みに到達し、それは徐々に、より荒々しく不協和で、重々しいものに発展していく。力感漲る打楽器のロールと、全合奏で奏される冒頭の楽句とが張り詰めたものを解き放ち、勝利の喜びに満ちて楽章を閉じる。」

II. アリアSfestiva_2_3
「第二の楽章は”アリア”。暖かく抒情的な旋律が木管低音で柔らかに奏される。その旋律はやがて上声の木管楽器にフォルテで奏され、装飾的な旋律(
melisma)も加わって増音されていき、最後はフルートの優しいソロで柔らかに曲を閉じる。」

III. トッカータ
Sfestiva_3「最終楽章は輝かしい”トッカータ”。リズミックで猛烈に踊り狂う木管楽器に始まり、金管楽器と打楽器の威張った軍隊行進曲がこれに続く。中間部は抒情的だが軽快な音楽で、やがて勢いを増して”木管の踊り”と”軍隊行進曲”との再現部につながっていく。そして楽しく生き生きとしたコーダがこの作品を締めくくる。これは行進曲風のベースラインが、有名な1950年代のロックン・ロールのベースラインへと変容していくもので、大変賑やかで愉快なフィナーレだ。」

♪♪♪

どの楽器も広い音域を使って書かれており、木管の速いパッセージも頻発、結構な難曲である。決して”超ハイトーン”の連発ではないが、「これ位は吹いてもらわんと。」という作曲者の要求は厳しい。
しかし、テンションの高い音域を存分に使っていることこそが、緊張感と音色の鮮やかさを生み出しているのだ。”ファンファーレ”と”トッカータ”の最後を華麗に飾る
Trp.Hi B♭も、そこに至るまでの譜面を考えればとてつもなく厳しいが効果的だし、”ファンファーレ”のBassTrb.では、ペダル直上のHなども容赦なく使い、その音色を効かせている。

緊張感と優美さの対比で最後までやってきたくせに、最終盤=コーダでの能天気な浮かれっぶりは変態的であり、呆気にとられるばかりだが、個人的にはここが一番好き!
Trp.の調子っぱずれなフレーズもなかなかにクレージー。

♪♪♪

音源としては、広い音域を充実した音で聴かせ、ダイナミックな演奏の

山下 一史cond.東京佼成ウインドオーケストラ
盤(冒頭画像)をお薦めする。Bass Trb.もバリバリ音色を聴かせてくれて、嬉しいばかり!

Photo_2録音(全曲)としてはもう一つだけ。

アントニン・キューネルcond.
武蔵野音大ウインドアンサンブル

による演奏(LP/画像参照)がある。
やや線が細く”いっぱいいっぱい”な感じだが、各楽器の音色は生かされている。冒頭
Trp.の音程の合い方は、さすがはキューネルの棒というべきか。

(Revised on 2008.8.16.)

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コメント

ちょっとしたことでこの曲を思い出して、
ひさしぶりに聴いてみました。

…いいですね!こういう名曲があったことを
忘れていたとは、ちょっと恥ずかしいです。
こんな、金管は金管らしく・木管は木管らしく
鳴っている曲が私は大好きです♪

投稿: HARA-P | 2013年2月26日 (火) 05時41分

HARA-Pさん、どうもです!
聴いていてとても楽しい曲ですよね。他にはない個性の光る名曲です。なかなか難度が高いのですが、ぜひ演奏してみたい曲でもあります☆

投稿: 音源堂 | 2013年2月27日 (水) 12時24分

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