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2006年10月30日 (月)

管楽器のためのソナタ C.カーター

1Sonata for Winds
C.カーター
(Charles Carter
1926-1996)



「序奏とカプリス」「ラプソディック・エピソード」「交響的序曲」「管楽器のための序曲」「クイーンシティ組曲」など、明快で愛らしい作品を多数送り出したチャールズ・カーター
平明だが決して”幼稚”と切り捨てるわけにはいかない、確りとした曲ばかりである。


Photo_5カーター得意のパターンは急-緩-急の3部形式で、再現部へのブリッジにカノンあるいはフガートを配したもの。
対位法的楽曲はカーターの得意とするところであり、中間部の旋律はどれも優美で、単純ながら構成もしっかり。そして、ハーモニーとリズム(スネアドラム)はなかなかモダンで洒落ている。

♪♪♪

この「管楽器のためのソナタ」(1959年)もその典型、カーターの曲の中で、私はこの「ソナタ」が一番好き!
天真爛漫な曲想のオープニング(冒頭画像)からして気に入っている。続いて現れる木管のたおやかさが、品のあるお嬢さんを見ているようで、また良い。
2_2そして、何といっても中間部のノスタルジックな旋律がしみじみとして美しく、それがアゴーギグを効かせて歌い上げられると何とも堪えられない。
3_2吹奏楽のサウンドの暖かさがストレートに伝わる、愛すべき佳曲である。
中間部の導入はEuphonium、そして抒情的な的なカウンターも奏で、叙上の木管楽器の旋律を引き立たせている。
4旋律にTrp.が加わって高揚し、クライマックスを迎えるが、この音楽はどこまでも優しく暖かいのだ。
5中間部が静まると、Trb.によるブリッジを挟んでカーター得意のカノン、そして冒頭部が再現され、堂々とした足取りのコーダで曲を終う。

ああ、こんな優しい音楽を快活に、そして美しく演奏できたら、さぞや素敵だろうな -と思わずにはいられないのである。

♪♪♪

音源はLP時代のものしかなく、CD化はされていない。
Photo_9汐澤 安彦cond.
フィルハーモニア・
ウインド・アンサンブル
表現にメリハリがあって、纏まりのあるサウンド。中間部のTrp.は朗々と歌い、この曲の良さをストレートに伝えてくれる演奏である。

♪♪♪

ところでチャールズ・カーター作品の変り種に、
ブラス・コワイアーと吹奏楽のための”プリズム”
(Prism, for Brass Choir & Band)

がある。なるほど、よく聴いてみると得意のフガートも現れるし、カーターらしくもあるが、終始勇壮な楽句が続くアンティフォナルな効果を狙った作品で、予て親しんできた彼の作品とは一線を画すものとなっており、面白い。
出版元TRN社のサイトでデモが聴けるので、こちらも一度聴いてみては如何?
(ただこのデモは録音が良くないせいもあり、終始やかましい感じの演奏ではある。)


(Revised on 2010.2.22.)

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コメント

プリズムのデモ音源ダウンロードして聴いてみました。
フロリダ大の演奏、とても熱いですね(ちょっと熱過ぎ?)。
マーチングバンドのドリル演奏だったら、視覚的にも声部が見えて効果上がるような気がしました。

投稿: くっしぃ@サウジ | 2006年11月 3日 (金) 04時21分

懐かしい!
同じレコード所有しています!!!

学生時代が懐かしいです・・・

投稿: Tubaとうさん | 2010年12月14日 (火) 21時25分

Tubaとうさんさん、コメントを有難うございます!
(連日の宴席で帰りが遅くなることが続き、コメントをお返しするのが遅れました。すみません。)

このLPで「管楽器のためのソナタ」を初めて聴いた頃、吹奏楽の音源は本当に少なかったです。音源の最大の供給源はカットのあることが多い、アマチュアのLive録音である全日本吹奏楽コンクールの実況録音盤でした。今は音源の絶対数も増えましたし、永年音源のなかった楽曲についても、徐々に整備されてきたのは喜ばしい限りです。

…でも、あの頃の音源=LPは、今でも大好きな曲ばかりで、私にとって想い出とともに大切な宝物です☆

投稿: 音源堂 | 2010年12月16日 (木) 22時24分

チャールズ・カーターといえば「序奏とカプリス」「ラプソディック・エピソード」の二曲のイメージが強く、この「管楽器のためのソナタ」は実は今まで全く知りませんでしたが、今日、都内の某イベントでこの曲を演奏する機会に恵まれ、改めてこういった吹奏楽の小品の良さ・奏でる楽しさを強く感じました。

今回はシンバルとトライアングルを演奏しましたが、シンバルのアクセントが細かくも腑に落ちる指定をされており「さすが」と思った次第です。ただ、ひとつ残念だったのは今日、音源堂さまと直接お会いできなかったことだけです(客席でお姿を探したのですが…、残念)。

投稿: HARA-P | 2014年4月13日 (日) 20時34分

HARA-Pさん、本日はお会いできず残念でした。私の方もHARA-Pさんがいらっしゃらないかと会場では相当目を凝らしていましたが…。またその内にぜひお会いしましょう。^^)
いやあ、この曲とってもいいと思うんです。この曲と対で扱われる「管楽器のための序曲」よりも私はこの曲が好きですね。何より中間部の旋律が本当に素敵で、堪えられません。この曲を実演なさったことをとても羨ましく思います。その素敵さは、古いとか新しいとかではないと私は思うのです。

投稿: 音源堂 | 2014年4月13日 (日) 22時55分

何気に、「ニコ動」をチェックしていたら、カーターの作品集のLP音源がアップされていました。この音源、以前、私も所有していたのですが、後輩が借りていったきり、帰ってきませんでした。もっと大切に管理していたらと悔やまれてなりません。その中の「勇気ある町(ボルド・シティ)」は、現在でも入手不可能です。カーターにしては暗い感じのメロディーラインの曲ですが、タイトルからイメージされる曲想がとてもマッチしていて、大好きな曲でした。「ソナタ」と「序曲」は同時期のすばらしい2曲ですが、どこか「勇気ある録音」にチャレンジしてくれないかなあ?でなければ、ソニーさんから「阪急の栄光サウンド」とでも題して、CD化を願います。
あれれ、この曲へのコメントからだいぶ逸れちゃったかな?でも、カーターの作品はどれも、すばらしいですよね!

投稿: ブラバンKISS | 2014年7月16日 (水) 22時57分

チャールズ・カーターは本邦での人気がアメリカ本国を上回っているのではないでしょうか。彼の作品はオーソドックスな形式のものが多く陳腐に思われているかも知れませんが、メロディアスなその作風は今こそ再評価されてしかるべきと思います。教育的な作品であることは事実ですが、それを意識し過ぎずに、どう聴かせるか、に腐心した時にはそれに応えられる良さを持っている楽曲ばかりのように思えてなりません。

投稿: 音源堂 | 2014年7月17日 (木) 01時06分

小生もカーターが好きで、顧問をしている吹奏楽部のレパートリーに毎年取り上げています。現在、出版されている楽譜は、ラブソディック・エピソード、シャコンヌ、位ですが、信濃町の民音には、蔵書に「Bold city}「Overture for band」「Motet for band」(ルバーン版)
「Symphonic overture」「Sonata for winds」などがあり、団体登録をすると借りることができます。

投稿: hikky | 2016年2月10日 (水) 16時42分

hikkyさんコメントを有難うございます。
本稿で採り上げました「管楽器のためのソナタ」はバーンハウス出版から再版されています。しかしながら、カーター作品は入手可能な録音が少ないままとなっており、これが再評価の妨げとなっているのは間違いないところでしょう。
ぜひ好演且つまとまった作品集がリリースされるのを期待したいですね。

投稿: 音源堂 | 2016年2月10日 (水) 23時07分

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