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2006年9月13日 (水)

交響組曲

Photo_5Symphonic Suite
I.   Intrada
II.  Chorale
III. March
IV. Antique Dance
V.  Jubilee

巨匠クリフトン・ウイリアムズ(James Clifton Williams 1923-1976の作曲で、1957の第2ABAオストワルド作曲賞を受賞した傑作。これは前年の「ファンファーレとアレグロ」に引続いての受賞である。彼はJ.B.チャンスやW.F.マクベスの師匠でもあり、特にマクベスがクリフトン・ウイリアムズの遺作となった「カッチアとコラール」に基いて名作「カディッシュ」を作曲し、師匠の死を悼んだことは有名。

クリフトン・ウイリアムズの作品を聴くと、どの曲も吹奏楽の機能を際立たせた作品だなあと感じる。「管楽器と打楽器がこれだけ集まって、音楽やるんだろ?だったらこういう風にやらなきゃあ。」-とべらんめえ調で断言するような、明確な楽曲作りが窺えるのだ。各楽器がそれぞれの機能を発揮しながら生き物のように絡み合う、その息吹きがグイグイと感じられる。
それに加えて”吹奏楽魂”を燃え盛らせるダイナミックさとカッコよさ!”胸がすく”とはこういうことだ。”吹奏楽好きにはタマラない”のがクリフトン・ウイリアムズである!

♪♪♪

この「交響組曲」はそうしたクリフトン・ウイリアムズの作風が集約されている。まさに各楽器を”使い切って”いるのだ。

トランペットの華やかなファンファーレに始まる”イントラーダ”。それに続く中音域のメロディーは朝靄のようなサウンドを従えているが、このサウンドが幻想的で何とも素敵なのだ。ファンファーレは徐々に厚みを増し、打楽器群との応酬となってクライマックス。その響きの減衰するまま、アタッカで静謐な”コラール”へ入る。品のある聖歌は全編を支配する主題で、あくまで静けさを湛えている。

突然の場面展開で快活な”行進曲”が始まる。打楽器群の壮麗なアンサンブルに導かれておどけた旋律の主部、その動機を伴奏に聖歌が再現されるが、こうした伴奏の楽句一つ一つが面白い。
Trb.のペダルトーンを効果的に使い、色彩を変化させるのはクリフトン・ウイリアムズ得意の手管!打楽器群が再び賑やかとなり、いよいよこの曲の白眉へ。緊張感漲るホルンの刻みに続いて鮮烈なTrb.のグリッサンド、打楽器と低音の打ち込み、今度は炸裂するTrb.のペダル・トーンと息もつかせぬ応酬!徐々にテンポを捲った後、効果的なフェルマータと鮮やかな終止。

ゆったりとした”古代舞曲”は木管楽器の音色を生かした憂いのある音楽。徐々にテンポを速め、生命感を高めて形成するクライマックスは非常に劇的。と、思うと嵐の過ぎ去った後のようにぼかされた冒頭の音楽に戻るのが心憎い。

一転して、テュッティのダイナミックなイントロで”ジュビリー(祭典)”が始まる。テンポ・ダイナミクス・音色のコントラストを効かせた音楽で、各楽章を再現しつつ終結に向かう。冒頭のファンファーレが高らかに奏された後、印象的なモチーフの繰り返しを伴奏にテンポを捲り、最後はまた重厚に緩めていく。そして縦横無尽な音楽の流れは、全合奏の一撃で締めくくられる。

♪♪♪

クラシカルな吹奏楽オリジナルの名曲だが、最近の吹奏楽界の志向・嗜好とは違っているか?私としてはここらで再評価すべきと思うのだが・・・。
音源は何と言っても
フレデリック・
フェネルcond.
東京佼成ウインドオーケストラ
の名演(冒頭画像)、これに尽きる。

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コメント

はじめまして。突然のコメントです。

交響組曲を取り上げるh-ongendo1964さんの耳に喝采です。けっこう古くて知らない方も多いでしょうが名曲だと思います。私は「ファンファーレとアレグロ」を吹こうと企てています!!

私のブログでも「パッサカリア」について書かせてもらってますので立ち寄ってみて下さい。

投稿: kuranet | 2006年9月14日 (木) 23時02分

kuranetさん、コメント有難うございます。早速貴ブログを拝見させていただきましたよ。同じ思いでいらっしゃる方がおられて、心強く感じました。

昔、秋山紀夫氏や稲垣征夫氏の楽曲紹介を見て、「どんな曲なんだろう?聴いてみたいなぁ。」とワクワクしていたのを思い出します。このブログは読んでいただく方々に、同じように感じていただければ- そう思ってスタート致しました。
自分なりに思い入れを第一に、可能な限り付加価値もつけて提供できればと考えています。(文章は硬いのですが、これが私のスタイルと思っております。)

ご紹介した曲はどれも素晴しいものと確信しています。お耳にしたことがないものがあれば、ぜひお聴きになってみて下さい。今後ともどうぞご贔屓に。私も貴ブログにちょくちょく行かせていただきますね。

投稿: 音源堂 | 2006年9月15日 (金) 17時05分

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