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2006年8月 2日 (水)

ブルーリッジのバッカス

Joseph_horovitz_2Bacchus on Blue Ridge
A Divertimento for Symphonic Band
J.ホロヴィッツ
(Joseph Horovitz 1926- )







副題:シンフォニックバンドのためのディヴェルティメント。「蒼き波の上のバッカス」との邦題もあるが、Blue Ridgeはあくまで固有名詞であり、適訳とは言いかねる。
ジョゼフ・ホロヴィッツ(冒頭画像)が1983年に作曲。ホロヴィッツはウイーン生まれのイギリスの作曲家で、吹奏楽の分野でも「舞踏組曲」「コメディア・デラルテ」等の作品がある。

♪♪♪

Blueridge標題にある「ブルー・リッジ」はアメリカのアパラチア山脈にある連峰であり、国立公園にもなっている大自然のリゾート地。青く煙るような霧が出ることから、「ブルー・リッジ」と名づけられた。


ブルーリッジ・パークウェイは人気のドライブスポットで、全米各地から観光客が訪れるという。

Blueridge_fallBlueridge_pricelake_6










※美しいブルー・リッジの観光案内サイト:
Balcony of the Blue Ridge

♪♪♪

作曲者ホロヴィッツの発想は、
「いつも酒と女と歌の喧騒に浸っているバッカスも、週末にはブルー・リッジへリゾートにやってきて、都会の賑やかさから逃れ、長閑にのんびり過ごすだろう。」
というものらしい。なかなかユニークだ。
同じく酒神を題材としながら、F.シュミットの歴史的作品「ディオニソスの祭り」とは対極を成す内容である。
※バッカス(ローマ神話)=ディオニソス(ギリシャ神話)


すなわち、酒神が本業を遂行し饗宴を繰り広げる様が描かれたのが「ディオニソスの祭り」である一方、一仕事終えた酒神が、オフを田舎のリゾートでくつろいでいる様が描かれているのが、この「ブルーリッジのバッカス」なわけである。

もしかしたら作曲者ホロヴィッツは、あの名作「ディオニソスの祭り」を念頭に置き、その裏側・対極を描こうという意図が本当にあったのではないか? -私はそう思っている。
たとえそうでなくても、とにかくこの2曲の対比はえらくオモシロイ!

♪♪♪

曲は標題のない3つの楽章から成る。アメリカの軽音楽の要素を随所に織り込んでおり、終始愉しい音楽となっている。色彩感や、リズムパターンやダイナミクスの対比も鮮やか。

1.Moderato
1印象的なベース・パターンにのってファゴットが歌いだす。それは2声となって発展し、他の楽器に歌い継がれていく。歌自体は素朴だがJazzyなムードに溢れたクロスオーヴァーな音楽。

2.Blues-Vivo-Lento
2ブルース・コードのノクターン。ホルン・ソロのブルースはコールアングレの素朴なノクターンへと変容、オーボエ・フルートのソロも美しい。中間部は「ラ・ヴァルス」(ラヴェル)風のワルツとなり、各楽器にソロが現れ、またノクターンに、そしてブルースへ回帰していく。

3.Vivo
3ホー・ダウン。Trp.のソロで軽やかに開始され、ディキシーや、快速なワルツ風の部分を挟みながら陽気な音楽は高揚し、クライマックスへ突き進んでいく。


♪♪♪


Cd_2音源は少ないが、
フレデリック・フェネルcond.
東京佼成ウインドオーケストラ
の録音(左画像)が非常に素晴らしく、充分満足のいく出来映え。



・・・「ディオニソスの祭り」と「ブルーリッジのバッカス」の2曲を並べて、ディオニソス(バッカス)の”ON・OFF”を対比的に見せるというコンサート・プログラムなんかも面白いと思うけど、如何?^^)


(Revised on 2008.4.26.)

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