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2006年8月16日 (水)

ダイアモンド・ヴァリエーション

PhotoDiamond Variations
R.E.ジェイガー
Robert E. Jager 1939
-)





私の大好きなロバート・ジェイガーの作曲。1968年イリノイ大学バンドの創立75周年を記念して指揮者マーク・ハインズレーから委嘱されたもので、同年ABAオストワルド作曲賞受賞作品。
イリノイ大学フットボールチームの応援歌(マーチ) ”Illinois Loyalty”のトリオの旋律による変奏曲である。

   ※Illinois Loyalty 原曲はこちら
       これを聴くと、この「変奏曲」がほとんど原曲のイメージを持たないものであること
       が判るだろう。第2変奏冒頭のA音などはそのままなので、まだ関連が判りやす
       いが…。
       「ダイアモンド・ヴァリエーション」が非常にオリジナリティの高い作品になっている
       ということは、疑いないと思う。


♪♪♪

Photo_3通常の「変奏曲」の様相とは異なり、直接的に「それと判る」変奏が展開することのない変奏曲。最後の変奏曲でモチーフを感じさせるとともに、コーダで旋律が再提示されるわけだが、この段階まで元となる旋律のことは忘れて聴き入ってしまう。

主題
DvOboe
のどソロで2度繰り返される主題は、続くファンファーレ風の金管群の咆哮でしっかりと提示され、ハープを伴った夢見心地な木管のサウンドで仕舞う。
この旋律提示によるイントロダクションに続き、5つの変奏曲そしてコーダと続く構成を持つ。性格の異なる5つの変奏曲の対比が実に見事で、音楽的興奮に満たされる傑作だ。

1変奏
Dv_v1木管群によるワルツ風のリズミックなフレーズで始まる。高音と低音、木管と金管、テュッティと弱奏の対比が映える音楽。

2変奏
Dv_v2旋律から抽出したA音が、人の深い息遣いの如く奏される中、これまた息の長い中低音の旋律が朗々と奏される。冷ややかな
Fluteソロと不安げなサウンドが印象的。

3変奏
Dv_v3_3
うって変わって低音群のスケルツォ風の勇壮な旋律に始まる。リズミックな伴奏に乗って、
中低音が鮮やかな極彩色。変拍子の重厚なテュッティのあと、毅然とした終止。

4変奏
Dv_v41甘美な
AltoSaxソロ。このロマンティックな楽想こそジェイガー真骨頂の一つ。続くFluteやTrumpetのソロも殊のほか美しく、ハープも効果的で当時の吹奏楽曲として極めて斬新である。アゴーギグを存分に効かせながら高揚する、夢見るような音楽。
Dv_v42再び
AltoSaxソロに戻り、静けさを湛える。

5変奏 - コーダ
Dv_v5_3主題のモチーフを使用した浮き立つような音楽。
Trumpet~Clarinet~Hornとソロを使って音色の変化を演出しつつ、変拍子のクライマックスに向かう。Timpaniソロのあとテンポを捲って、壮絶に交錯するテクスチュアのアンサンブルとなり、その頂点でこの上なく効果的なG.P.が

主題を再提示するコーダはもう一気呵成。伸びやかな
HornSaxの旋律を聴かせた次の瞬間から、水が堰を切って流れ込むようにエキサイティングなエンディングへ。鮮烈極まりないTrumpet+Horn8分音符に導かれ、熱狂のうちに曲を閉じる。

♪♪♪

そもそもこの曲、なぜもっと演奏されないのか?私はとにかくそれが残念!
どえらくカッコイイ曲なのである。第4変奏では涙が溢れるんである。曲が終わった瞬間、思わずBravo!なのである !!

音源は、渡邊 一正cond.大阪市音楽団の新しい録音や、出版社のデモンストレーション音源(これはモロにスタヂオの音)があるが、何と言っても
汐澤 安彦cond.東京佼成ウインドオーケストラ
の演奏をお薦めする。

テンポ設定が極めて適切で、アゴーギグやテンポの捲りも過不足なく、音色・ダイナミクスなどのコントラストも見事に表現、スピード感のある音色の名演である。
残念ながらCD化はされておらず、冒頭画像のLPレコードのみで聴くことができる。
-これも、おかしなハナシである。

      【その他の保有音源】
          渡邊 一正cond. 大阪市音楽団
          エドワード・ピーターセンcond. ワシントン・ウインズ
          アラン・L・ボナーcond. アメリカ空軍軍楽隊


(Revised on 2011.1.3.)

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コメント

昨日はコメントありがとうございます。
実はkuranetもダイアモンド・ヴァリエーションは大好きで、Asaxのsoloが美しい第4楽章とダイナミックな第5楽章は特に気に入っています。
kuranetは大阪市音の演奏しか聴いてませんが、フィナーレ直前のG.P.にはゾクッときます。
もっと演奏されるべき作品だと確信しています。

今後ともよろしくお願いします。

投稿: kuranet | 2006年9月15日 (金) 23時58分

はい、ダイアモンド・ヴァリエーションは最高にいい曲です!演奏してみると、意味のない音のない譜面だなあって感じますし。ジェイガーは大好きな作曲家です。推薦している音源、ホントにいい演奏なんですが・・・。

また、リンクいただき有難うございます。実は一昨日から所属している楽団の合宿でして、今帰宅したところです。片付けなどバタバタしていますが落ち着き次第、私の方もkuranetさんのブログをリンクさせていただきますね。
こちらこそ、今後とも宜しくお願いします。

投稿: 音源堂 | 2006年9月18日 (月) 20時13分

高校生の時吹奏楽コンク-ルでダイアモンドヴァリエ-ションを演奏しました。すごく好きな曲で、いまでも聞きたいのですが音源がありません。タワ-レコ-ド等で探しても廃盤ということで手に入りません。大阪市音のもの、または東京佼成WOどちらでもいいのですが、入手方法がありましたら教えてください。

投稿: 黒澤 亨 | 2007年2月10日 (土) 12時51分

黒澤 亨さん、初めまして。ようこそいらっしゃいました。今後とも宜しくお願いします。

私は廃盤物につきましてはYahoo!オークション、並びにAmazonマーケットプレイスにて入手しております。

折しも、現在(2006.2.11. 22:40)Yahoo!オークションに、私の推薦する音源を収録した「汐澤 安彦cond.東京佼成WO」のLPが出品されているのを発見しました!

http://page4.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/d64821524

「ネットオークションにはちょっと抵抗が・・・」ということでなければ、どうぞ入手をご検討下さい。尚、このLPは流通した枚数も多いようで、結構頻繁にオークション市場に現れます。

投稿: 音源堂 | 2007年2月11日 (日) 22時44分

今年2月にR・ジェイガーの「ダイアモンドヴァリエーションズ」の音源を捜していますとコメントさせていただき、アドバイスをいただきました。ありがとうございました。あちこち探しましたが結局「汐澤 安彦cond.東京佼成WO」のLPも「大阪市音のR・ジェイガー作品集」のCDも見つけることができずにいたところ、最近偶然別のところから音源を発見しました。「ノルウェー吹奏楽選手権2004オムニバス」という題名のCDに録音されていて、ネット販売にて入手しました。アマチュアの吹奏楽コンクールをライブ録音したもののようで、決して上手くはないですが、ひとまずは昔を思い出して懐かしく聴いております。ちなみ入手先はサウンドマップ(http://www.soundomap.jp/)でした。また今後もアクセスさせていただきます。ありがとうございました。

投稿: 黒澤 亨 | 2007年5月 3日 (木) 22時20分

黒澤 亨さん、情報を有難うございます。私は何のお役にも立てず、すみませんでした。
尚、調べて見たところ東京都の「練馬区立図書館」及び「板橋区立図書館」では"大阪市音のR・ジェイガー作品集"を所蔵しており、借りることが可能です。
もしお住まいが東京周辺でしたら、ご利用されて見ては?練馬・板橋区民でなくても利用可能ですよ。ネットで予約し、自分にとって一番便利な図書館で受取ることができます。

東京以外の図書館でも所蔵しているかもしれません。一度お住まいの近くの図書館のHPにアクセスし、所蔵してないかお調べになってみては如何でしょうか?

投稿: 音源堂 | 2007年5月 4日 (金) 08時55分

ダイヤモンド・ヴァリエーションズ
大好きな曲ですので、昔はご推薦のLPもありましたが、いまでは行方不明です。そのかわり・・
大阪市音とアメリカ空軍バンドの音源があります。
もっともっと、いろんなところで演奏していただきたい名曲ですね。
あと、たいへん詳しい曲目の解説で頭が下がります。
ありがとうございます。

投稿: ebony | 2012年2月 7日 (火) 18時48分

ebonyさん、ようこそお越し下さいました。
ダイアモンド・ヴァリエーション…私の願いはこの曲を演奏することです。まだ実演経験がありませんが、このカッコ良くてロマンチックな、爽快な音楽をぜひ合奏し、創りあげてみたいのです。これがなかなか叶わないのですが、いつかは演奏したい!と想い続けております。

またぜひ我が「音源堂」にお越し下さい。お気軽にコメントもお寄せいただけましたら幸いです♪

投稿: 音源堂 | 2012年2月 7日 (火) 21時51分

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