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2006年7月28日 (金)

民衆の祭りのためのコラール

Photo_5Quelques Chorals pour des Fetes Populaire
C.ケックラン
(Charles Koechlin 1867-1950)
I  . Jeux
II . Victoire
III. Choral pour une Fete de Plain Air
IV. Prelude a une Fete Populaire



シャルル・ケックラン
(冒頭画像)が1936年に作曲した吹奏楽のためのオリジナル曲。野外での演奏も念頭に置いたとされる。
ケックランはフランス/パリ生まれでJ.マスネやG.フォーレに師事している。「ジャングル・ブック」「七人のスターの交響曲」など規模の大きい管弦楽曲もあるが、やや大味・散漫な部分が少なくない。そんなケックランの作品の中で、この「民衆の祭りのためのコラール」はスッキリとまとまっている。

I. 遊戯  II. 勝利  III. 戸外の祭りのためのコラール  IV. 民衆の祭りのためのプレリュード  の4曲から構成され、終始ファンファーレ楽句が提示される吹奏楽らしい作品である。
「遊戯」の弾むような躍動感、「勝利」の荘厳さ、「戸外の祭りのためのコラール」の華々しさ、「民衆の祭りのためのプレリュード」の壮大さと、各楽章がそれぞれに特色を持っている。

♪♪♪

Photo_4音源としては、ギャルドとともにフランスの名門バンドとして高名なパリ警視庁吹奏楽団デジレ・ドンディーヌの指揮で録音したもの(左画像)があり、これが唯一の全曲版。
ベルリオーズの吹奏楽曲「葬送と勝利の交響曲」の名盤として知られており、F.シュミット/ディオニソスの祭り、G.フォーレ/挽歌とともに、この「民衆の祭りのためのコラール」が収録されている。
時代的な問題もあろうが、金管はともかく、木管群の音が合わな過ぎて耐えられない部分がある。また曲作りもこの曲に隠された魅力を全て引き出したとは言い難い。

♪♪♪

Photo_6ところが、この曲を世に広め、吹奏楽界をあっと言わせた名演がある。 1981年の全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した
鈴木孝佳cond,福岡工業大学附属高校
の演奏である。
私もこの演奏を聴いて、「民衆の祭りのためのコラール」に魅了されてしまった。

1981福工大附属は全4曲の中から IV. 民衆の祭りのためのプレリュード~III. 戸外の祭りのためのコラール と演奏しているのだが、この演奏順も素晴らしく、出来映えはあまりにも凄かった。
何よりもプレイヤーひとりひとりの「本格的な音」が素晴らしい。近時全く聴かれなくなった超高校級、超アマチュア級の音だ。後にも先にも、こんなファンファーレ曲を擁しコンクールで結果を出したバンドなどない。

それに加えて、曲の魅力を余すことなく引き出している。決して先を急がない音楽の歩み、クライマックスへのアプローチ。最後のファンファーレ楽句が炸裂する直前の木管群の呻りの凄味、ラストの完成されたサウンド!
丁寧なフレーズの受け渡しと各楽器の音色を生かした演奏は”デジタル・ハイビジョン”のようにヴィヴィッドな色彩感を描き出している。

感動した!の一言しかない。
こういう演奏を聴くと自分が丸裸にされてしまったような感じがする。音楽に対する欲望を奥の奥まで引きずり出されてしまったというか・・・。まだお聴きでない方は、聴かないと損失ですぞ。

♪♪♪

そもそも演奏が難しいこともあるが、現在は楽譜の入手方法も不明であるため、今後この傑作が演奏される機会は極めて少ないと思われる。それではあまりにも勿体ない・・・。
そうならないためにも、この曲を再評価し、福工大附属の演奏を「プロフェッショナルとして凌駕した」全曲版の録音が欲しい。その登場を心から待つ!

(Revised on 2008.3.20.)

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コメント

リンクありがとうごさいます。

「民衆の祭りのためのコラール」とGoogleで検索しましたら、やはり貴ブログにたどり着きました。さすがh-ongendo1964さんお目が高い!
kuranetもこの曲を福工高の演奏で知り、ドンディーヌのCDを買いました。最初曲順の違いに驚きましたが、やはりいい!和音がフランスのエスプリを感じます(どんな?)
演奏してみたい!という欲求に駆られますが、楽譜の入手が難しいようです。ただ楽譜があっても選曲で落とされそうな気がします。

風のような浮遊感のある和声法が今も新鮮です。

投稿: kuranet | 2006年9月27日 (水) 21時21分

この曲をやるには、本文にもありますように超アマチュア級の技量が必要でしょうね・・・^^;)

尚、本ブログで過去に紹介した楽曲を一覧にしました。何かお探しの際はこのページの左最上部、「紹介楽曲リスト」をクリックしてみて下さい。どうぞ今後ともご贔屓に!

投稿: 音源堂 | 2006年9月27日 (水) 22時14分

はじめまして。
リシルド序曲で検索したら、たどり着きました。
(今度、所属団体で演奏するのです。)
ケックランのコラール、
私も同じ感想でして、あまたある吹奏楽の曲の中で、
そして演奏の中で、最高の1曲に挙げたくなるほどに気に入っています。
このカリオペのCD、昨年、ロンドンのCDショップから通信購入しましたが、
ご指摘のとおり、演奏はちょっと、というところもありますが、
それでも第1楽章と第2楽章を初めて聴くことができ、
更には第3楽章と第4楽章の構成を確認できたのは、とてもよかったです。

私は、釣り(フライフィッシング)→吹奏楽(トロンボーン)の順で来ましたが、似たような生活をされているので驚きました。
それでは。

投稿: きみ | 2007年1月28日 (日) 21時03分

きみさん、初めまして。
リシルド序曲、本当にいい曲ですよね!演奏されるのは建部版でしょうか、それとも原典版でしょうか。いずれにしてもあの壮麗な響きの真っ只中にいられるのですから、とても羨ましいです。

ケックラン、あの伝説の名演があるだけの曲になってしまってます。プロフェッショナルなバンドにプロフェッショナルな音で演奏して欲しいですよね。

♪♪♪

貴サイトも拝見させていただきました。ホント、拙ブログ別館と共通するところも多くて驚きました。
茂木大輔氏の「オーケストラ楽器別人間学」によれば、トロンボーン奏者というのは「突然、『こんど、海に釣りにいかねえか』と誘ってくる」そうです^^)
私たちの他にも、釣りを趣味とするトロンボーン奏者は多いのかも知れません。

今後ともどうぞご贔屓に!

投稿: 音源堂 | 2007年1月28日 (日) 23時55分

おお、この曲を取り上げているブログがあるとは!
嬉しくて書き込んでしまいした。
地元なのもあって、当時福工大付属の演奏が大好きでした。
合奏が上手な中村とタイプが違って、とにかくカッコよかった!
ここから黄金期?が始まるのですが、タイムリーに聞けたことを今幸せに思っております。

確かこの演奏、木管とか凄く少なくて、40人足らずだったように記憶してます。
地方予選直前に、なんらかの理由でこの曲に変えたとかなんとか(あやしい記憶ですが。。。)

更新楽しみにしてます。
また、お~この曲!があったら書き込みします!

投稿: 通りすがり | 2009年9月 2日 (水) 00時24分

コメントいただき有難うございます!
この福工大附属の演奏は、もうとにかく音自体からして素晴らしいです。ミス云々などもうどうでも良くなってしまう、音の凄さ。そしてサウンドの凄さです!
このレベルの「音」は近年なかなか聴けなくなった気がします。ちょっと淋しいですね。

投稿: 音源堂 | 2009年9月 2日 (水) 01時01分

普門館の演奏から30年余りがたった今、最高の評価をいただいているとは思いませんでした。この私は、「民衆の祭りのためのコラール」の時の1stPetを吹いていた者です。中学から吹奏楽を始め、全国大会での金賞を目標に初めて頂いた金賞がこのケックランのコラールです。
最近、FBを通して、昔の仲間達と交流の機会ができ吹奏楽をキーワードにネットをしていてここにたどり着きました。本当に驚き、そして・・・・感動しています。
自分たちが必死で練習して演奏した曲が関係者以外の方からこのような評価を頂けているとは、思いもよらず、いまさらながら音楽の力を思い知らされました。有難うございます。

投稿: あのころの☆ | 2012年3月 7日 (水) 14時18分

あのころの☆さん、コメントをいただき有難うございます。あの演奏のメンバーの方にコメントをいただくなんて、光栄です。これをご縁に我が”音源堂”をどうぞ宜しくお願い致します。m(_ _)m

いやー本当に感動しましたよ!最後の響きが鳴り終わる前に拍手が起こっており、録音を聴いていて残念でしたが、あの凄まじい演奏をLiveで聴いていた人たちが思わず我先にと拍手してしまったのは、無理からぬことと云えるかもしれません。(昨今の所謂ブラボー隊のそれとは違いますのでね。)

尚、今回コメントをお返しするにあたり、(ずっとそうしようと思っていてできていなかったので^^)当時の写真をupさせていただきました☆

…しかしこの曲の譜面ですが、何とか入手する方法はないものですかねえ…。

投稿: 音源堂 | 2012年3月 7日 (水) 23時10分

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