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2006年6月22日 (木)

パスファインダース・マーチ

Photo_404The Pathfinders March
M.ロックヤー
(Malcolm Lockyer 1923-1976)




”The Pathfinders”
(1972)というイギリスのTV番組で使用されたマーチで、マルコム・ロックヤーの作曲。
Malcolm_lockyer映画音楽の分野で活躍していたこの作曲者は、イギリス空軍に在籍歴もある。
(左画像/作曲者のリーダー・アルバム” Malcolm Lockyer Quartet ”のジャケット写真より)



「パスファインダース」とは夜間爆撃などの空襲の際、最初に爆弾を投下して後続機に目標を示す先導機のことで、当時のイギリスではデハビラント・モスキートがその代表機種。同TV番組の詳細は不明だが、このモスキートが先導機として活躍する、第二次世界大戦の戦記ものと見て間違いあるまい。

※デハビラント・モスキート (de Havilland Mosquito)http://www1.mahoroba.ne.jp/~ple/gbr02.html

この曲は「ダム・バスターズ」「633爆撃隊」と並んで、イギリス空軍バンドのポピュラー・レパートリーとなっており、幾つかの録音がある。
(冒頭画像:イギリス空軍レジメント・バンドの演奏。)
山岸 裕氏の編曲による日本版の吹奏楽譜もあるにもかかわらず、あまり演奏されていないが、なかなか勇壮で且つ親しみやすいマーチである。もっと採り上げられて良い。

Pathfinders
スーッとクレシェンドしてくる個性的なイントロに続き、早速勇壮な旋律が現れる。(6拍目の8分音符はあるが)前打ちでグルーヴするマーチであるのが特徴的。
遥か彼方に飛翔するモスキートを想起させる長いフレーズの旋律も現れて変化を示すとともに、吹奏楽/ことにマーチでは使用されないキーに転調するのも面白い。
単純な曲想だが心躍るものがある。「前打ちマーチ」の魅力充分だ。

♪♪♪

さて、イギリスの「前打ちマーチ」といえば、あの曲を忘れてはいけない。
そう、「サンダーバードのテーマ」である!

凝りに凝ったマリオネットとメカニック、ストーリーと演出、カメラワークゆえに、単なる子供番組の域を超えていることを誰もが認める「サンダーバード」。これを効果的に盛り上げるのがバリー・グレイ(Barry Gray  1908-1984) の名曲なのだが、聴く者の心躍らせ、それでいて品がある。シンプルなものに品格を備えるというのはなかなか難しいから感心する。

「サンダーバード」は小さなマリオネットが演じる世界だが、同時に大人の世界の縮図でもある。ストーリーや理念はもちろん、劇場実写映画の縮図ともいえる本格的な作り。そして”パリのカフェーでペルノを楽しむペネロープ”といったお洒落ぶり・・・。こういうものを丁寧に織り込んだ「大人の世界の縮図」だからこそ、子供から大人まで幅広くアピールするのだと思う。

壁に背を向けたバージルが出動していくシーン。(この頃はとにかく全部「自動」なのが”未来”だったんだなー。)秘密基地の全貌と科学の精粋たるサンダーバード2号の雄姿。やがてヤシの木が倒れてカタバルト上昇し発進するまでの間、「サンダーバードのテーマ」は見ている者をも鼓舞する。カッコイイことこの上ない!

Photo_405吹奏楽版は森田一浩先生のニューサウンズ版のほか、P.スパーク版もあり、いずれも優れているが、何と言っても実際のサウンドトラック(左画像参照)には敵わない。

私など「あ~、今日会社行きたくねー!」という日には、このサントラ版の「サンダーバードのテーマ」を聴きながら家を出る。聴きながら歩いているうちに元気になる。インテンポでキッチリ歌うサックス・ソロも胸がすく出来映えだ!バリー・グレイの音楽は「スティングレー」など他にもあるが、吹奏楽魂に響くものがあってなかなかイイ。

♪♪♪

Photoそして、吹奏楽ファンとして注目すべきは「サンダーバード劇場映画版」(左画像/同作品DVD)のエンド・タイトルにロイヤル・マリーンズ・バンドが登場し、「サンダーバードのテーマ」で華麗な演奏とマーチングを披露していること!
                                                                                                  
"Thunderbirds are go !"のDMの掛け声とともに始まるパフォーマンスは40人ほどの編成だが、どの楽器も本格的な音であり、ショボさなど微塵も感じさせない、洵に見事なもの。”カッコイー”の一言に尽きる!これからも窺い知れる、イギリスにおける同バンドへの愛着ならびにステイタスの高さには驚くばかりだ。

※「サンダーバード」公式サイトはこちら
http://www.tbjapan.com/


(Revised on 2007.12.9.)

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