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2006年6月13日 (火)

マスク

Photo_3Masque
W.F.マクベス
( William Francis McBeth
 1933-2012




題名の「マスク」(Masque)とは16-17世紀に英国で流行した「仮面劇」のこと。1967年、アーカンソー州立大学の委嘱により、同大学のファイン・アート・センター開館式のために作曲されたものだが、マクベス曰く「新たにオープンする同ホールで上演される仮面劇の様子を想起してこの曲を書いた。」とのこと。具体的な「仮面劇」の題材があるわけではないようだ。

♪♪♪

この曲の特徴は「執拗(コイシツ)」
冒頭のD-E♭-Cの角ばった主題音型。

1
これが全編に繰り返される一方、冒頭から打楽器群に表れるリズムもこれでもかこれでもかと繰り返され、この曲は圧倒的な統一感に支配されている。
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また、呪文のようなオカルト・サウンドとテュッティの壮烈な咆哮とのコントラスト、そして高音群と低音群が激しく掛け合い、その末に訪れる両者の一体化によるクライマックス -といったマクベスの真骨頂も随所に見られる。

全編を支配する主要旋律
2_2
呪文のような第2の主要旋律
4

マクベスにとっても「聖歌と祭り」に続く大ヒットとなったこの「マスク」は永く演奏され続けている代表作。この後「ドラマティコ」「ディヴァージェンツ」「第七の封印」といったヒット作を連発しており、私の世代にとって、吹奏楽オリジナル作曲家といえば「リード」「ジェイガー」「マクベス」が人気の”三羽鴉”(死語か・・・)だったのだ。

♪♪♪

Mcbethフランシス・マクベス(左画像)は1933年米国生まれ、惜しくも2012年1月6日に他界した。
少なくとも40歳くらいの写真でも既にスキンヘッド、顎の尖った鋭い顔であり、レコードのジャケットで眼にした彼の顔は当時中学生の私にとってちょっと怖かったのを記憶している。


「マクベス・ピラミッド」というサウンド理論が持論であり、これは
1.分厚い低音を広い底辺とし、
2.ついで中音域群がそれに載り、更に高音群がそれに載って、
3.正三角形のバランスになる
というサウンドを理想とするもの。(同じパート内でもしっかりとした3rdを底辺に、2nd・1stがピラミッドのバランスで載っかってコードを形成する。)
マクベスの作品はこの理論を念頭に作曲されているそうだ。

作曲者マクベスについてはこんな話もある。
「マスク」に続く新曲を委嘱されたマクベスは着想に悩んでいたが、ふとピアノの上にある譜面を弾いてみたところ「これだ!」と閃いた。
こうしてできた曲が「ドラマティコ」。「マスク」に引き続いてヒット作となったこの曲は、旋律・リズムとも基本的に「マスク」の”反進行”でできている曲なのだ。
・・・もうお判りのことだろう。そう、マクベスは上下逆さまに置かれていた「マスク」の譜面をピアノで弾いて、それをきっかけに作曲したのだった!
(そんな経緯で生まれた「ドラマティコ」だが、この曲もなかなか聴かせどころのある佳曲である。)

♪♪♪

さて音源である。

Photo_2この「マスク」を一躍有名にしたのは1972年の全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞した福岡県立嘉穂高校の快演に他ならない。
全プレーヤーが一体となった集約感のある演奏だが、同高校は「仮面劇」のイメージを膨らませるため本邦の古仮面劇である「能」の観賞もするなどして内面も掘り下げたそうで、その「執念」が感じられるもの。この演奏は作曲者マクベスも絶賛したという。

この他、マクベス自身の棒による”McBeth conducts McBeth"というCDもあるが、私としては大阪市音楽団の演奏(冒頭画像参照)を推したい。
指揮は巨匠・朝比奈 隆!メリハリの効いた、骨太で実直な名演である。

(Revised on 2012.1.25.)

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