K-20 怪人二十面相・伝 (試写会/2008.11.26.)
監督・脚本
佐藤 嗣麻子
出演
金城 武
松 たか子
仲村 トオル
國村 準
高島 礼子
本郷 奏多
益岡 徹
今井 悠貴
鹿賀 丈史
他
生まれて初めて「舞台挨拶つき」の試写会に行ってきた。「気に入っていただけたら宣伝して下さい!でも、ネタバレは勘弁して・・・。」を連呼する主演の金城 武をはじめとして、出席した役者さんたちのコメントは意外に?おもしろかった。^^)おそらく撮影現場は楽しいものであったことが、容易に窺えた。
時は1949年、舞台は第二次世界大戦を”回避”した日本の「帝都」。「帝都」は架空の設定だが、軍が警察も司っているなど、実際の戦前・戦後を折衷した世界にある”東京”のことである。
そこは”華族”が属する上流と、貧民層ともいえる下流が厳然と存在する、格差社会であった。
そんな世界を騒がし続ける怪盗が「怪人二十面相」。そしてヤツと対決する名探偵・明智小五郎こそは民衆のヒーローなのだ。
物語は、下流社会の象徴であるサーカスのスター・遠藤平吉が罠にかかり、怪人二十面相として逮捕されるところから始まる。平吉が無実を晴らし、彼の望む通りにまたあのサーカスでの生活に戻るためには、自ら真の怪人二十面相を捕らえるほかない。
果たして平吉の運命は?そして怪人二十面相の究極の目的は-。
♪♪♪
これ以上の内容に触れることはできない。
上映時間2時間17分の間、退屈させられることは全くない映画だということは申上げられる。
この映画はスター・ウォーズやインディ・ジョーンズといったルーカス&スピルバーグの世界、或いはマトリックス・・・そうしたアメリカン・エンターテインメント映画へのオマージュ。そしてその憧憬と日本の誇るキャラクター(=怪人二十面相+明智小五郎)との邂逅だ。
即ち、監督もコメントしている通り”エンターテインメント映画”以外の何物でもないのであり、そう捉えて観るべき作品である。
(=アメリカン・エンターテインメント映画がお好きでない方には、そもそも決してお奨めできない、ということ。)
♪♪♪
ストーリーは最低限の説明で進み、ガンガン突っ走らせる。粗くてもスピード感が命!と決めての編集には胸のすく思い。カット割りによる快速な画面展開がズバズバ決まり、現出したスピード感の高さは旧来の邦画の枠を完全に超えている。VFXをはじめとした特殊撮影も安っぽさや絵空事さのないレベルで、作品をがっちり下支えしていることも見逃せない。
織り込まれるユーモアはルーカス&スピルバーグ的であり、また一方で最新の日本の「笑い」の雰囲気も取り入れてある。こうした”お約束”も前述の通り「実際の戦前・戦後を折衷した世界」を舞台にして、映像で見せられるとなかなかにオモシロく感じられる。
また、キャラクターの「立ち」の強さは映画というより漫画的。そしてキャラクター一人ひとりに間違いなく愛情が注がれているその暖かさ・・・。(お嬢さまにはお嬢様の、からくり師にはからくり師の、詐欺師には詐欺師の見せ場がキッチリ用意されている!)
全般に漫画(アニメではない)の良さを積極的に取り入れているようだ。ここぞという場面では特殊撮影を駆使し”時間の経過”に自在に緩急をつけてアクションを見せるなど・・・。これなどは漫画が得意とする演出なのだ。
<主要キャラクター>
遠藤平吉 : 怪人二十面相に仕立上げられてしまったサーカス団の花形スター。
抜群の運動能力を持つ。
羽柴葉子 : 明智小五郎の婚約者。大財閥のお嬢さまで純粋にして行動的。
”良家の子女の嗜み”多し。
明智小五郎 : 頭脳明晰で容姿端麗、運動能力も高い名探偵。怪人二十面相の
好敵手。
源 治 : サーカス団の天才からくり師。その驚異的なからくりの提供のみ
ならず、あらゆる面で平吉をサポート。
菊 子 :源治の美貌の妻。実は元天才詐欺師、情に厚い姉御肌。
小林少年 :年少ながら明智の優れた右腕。ストーリー終盤では”囮”の役割を
果たす。
おまけに、ヒロイン葉子の抱擁シーンでの仕草には、女性監督らしいニュアンスも垣間見た。なかなか多彩に見せてくれて嬉しくなる。
♪♪♪
ストーリーはお世辞にも深みがあるとはいえないし、完璧な整合性を担保しているようにも思えなかったが、許せる。端的に言えば「人間が求める幸せって・・・」とふと頭を過ぎる感じなわけだが、それだけでも骨格たるストーリーの”効果”は充分出ていたと思う。
この映画の終盤のシーンを見ていて、「インディージョーンズ/魔宮の伝説」で聖杯に眼が眩みそれを求めて死へと落ちていく、あの女性学者の姿が想い起こされるのは、私だけではないのではあるまいか?
また、スター・ウォーズのルークとベイダーの対決シーンを彷彿とさせる場面もあった。やっぱり”オマージュ”的作品なんだなあと思う。
♪♪♪
とにかく全編に亘り製作者の意図にブレが全くないので、爽快感があることは間違いない。難しく考えずに面白がれる映画・・・それがこの作品。
そう考えていただいて、”するっ”と楽しまれたら良いと思うが、如何?
<2008.12.20. 全国封切予定>
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