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2016年7月11日 (月)

リボンの騎士 (手塚 治虫) -第5場 なかよし版

2「少女クラブ版」の連載終了から7年- 手塚治虫が「なかよし」に舞台を移し1963年1月号から3年半あまり連載した完全リメイク版。「なかよし版」の連載は1964年の東京オリンピック、新幹線開業を挟んでおり、年率10%以上の経済成長を続ける戦後日本の高度成長の真っただ中。1950年代中盤からの経済成長の成果が既に具現化しており、時代は大きく進歩していた。

私見となるが、「リボンの騎士」は手塚自身にとっても最も強力なコンテンツの一つであるから、映画に例えて云えば当時の「現代感覚」「最新技術」「最新トレンド」で”撮り直したい”という想いが手塚自身にも周囲(出版社やファン)にも募ったのではないだろうか。もちろん「リボンの騎士」のアニメ化が控えていたことも、それを後押ししただろう。

♪♪♪

Photo既に大成功を収めた「少女クラブ版」を下敷きにしているのだから、おもしろくないはずがないわけだが、加えてこの「なかよし版」には”漫画”というものがさらに進化を続け、その旧来のイメージを飛び越えた新しい息吹きを感じられるだろう。





第1に、一層映画的な手法を取り入れた現代的なヴィジュアル表現である。
72多様なコマ割りの使用、クローズアップ或いは逆にロングショットの効果的な使用によりダイナミックで映画的なヴィジュアル表現が駆使されている。もはや現在の漫画作品と比較しても遜色ない。

第2にキャラクターの二次元アイドル化である。
「なかよし版」のサファイアには必ずしもストーリーと連動性の薄い、フォトジェニックなショットが多くみられる。今に通じる二次元アイドルのコンセプトをハッキリと感じ取ることができるのだ。「美しい」「可愛い」を純粋に視覚で伝えるレベルの”漫画”なのである。
サファイアに限らずヘケートやビーナス、はたまたフランツやブラッドについてもその視点からヴィジュアルが研ぎ澄まされているのを感じさせる。

   ※連載時オリジナル版には何と”リボンの騎士のバカンス=ス
         
タイル”という、現代の洋服(夏物のワンピース)に身を包んだ
     サファイアのサービスカットまで掲載されていた!


Photo_3またキャラクターとしては海賊ブラッドウーロン候女剣士フリーベヴィーナスなどを新たに登場させた一方、「少女クラブ版」キャラクターのうち薬屋のポンコや人魚姫は登場させていない。またメフィストの役割はヘル夫人に置き換えられている。
(この置き換えは手塚の述懐によるとやや心残りなようだ。)

尚、詳細は後述するが、「少女クラブ版」と比較し圧倒的に存在感を上げたのは何と言ってもヘケートで、ヴィジュアルも含め突出して秀逸なキャラクターとなっている。

♪♪♪

【なかよし版 概要】
天使チンクの悪戯により、男と女両方の心を持って生まれてきてしまったシルバーランドの王女サファイア。この国には男しか王になれないという掟があり、悪評高いジュラルミン大公が次の世継に自分の息子プラスチックを据えようとしていた。
3ジュラルミン大公の支配を逃れ王位を守るため、サファイアは表向きは王女でなく王子として育てられることとなったのである。かくしてサファイアは15才となり、極めて美麗で優しい王女にして、正義感が強く勇猛果敢な剣の達人たる王子へと成長していた。
謝肉祭の夜、亜麻色の髪の乙女に変装したサファイアは舞踏会で隣国ゴールドランドのフランツ王子と踊り、二人は瞬時に強く惹かれあう。このサファイアとフランツの恋がストーリーの中心である。

150しかし王位を狙いサファイアを殺そうとしたジュラルミン大公やナイロン卿の企みは父王の急逝を招き、フランツに誤解を与えサファイアへの憎悪を抱かせることとなった。
自らの身の上を明かせないために、サファイア王子としてはフランツに激しく憎まれながら、一方で変装した亜麻色の髪の乙女としてはフランツに熱く思慕されるという複雑な構図となり、二人の想いはなかなか通じ合わない。


サファイアの即位式の日、とうとうサファイアが王女であることが露見して王位はジュラルミン大公一派に奪われ、サファイアはお妃(サファイアの母)とともに棺桶塔で囚人の身となった。優しいサファイアを慕うねずみたちから案内され抜け穴を知ったサファイアは、密かに棺桶塔を抜け出しては、仮面をつけて”リボンの騎士”を名乗り、ジュラルミン大公の悪政に苦しむ人々を救うために出没するのだった。


2149その後もサファイアを亡き者にしようとするジュラルミン大公一派に脅かされ、またフランツと娘を結婚させゴールドランドを我物にしようとする魔女ヘル夫人がサファイアの優しい”女の子の心”を奪おうと執拗に狙って来たり、サファイアに嫉妬しフランツの心を得ようとする美神ビーナスなどが登場して、サファイアとフランツの運命を翻弄する。

しかしサファイアから男の心を抜き取り完全な女の子に戻そうと奮闘する天使チンク、忠節な家臣たちや漢気溢れる海賊ブラッド、魔女の娘ヘケートやビーナスの召使いエロース、女剣士フェリーベら善良なる者たちの文字通り献身的な支援を得て、波瀾万丈の展開の末にサファイアとフランツの恋は大団円へと向かう。


♪♪♪

2160尚、上記「なかよし版概要」は手塚自身が改訂を繰返し”完成”した現行単行本のものである。というのは、「連載時オリジナル版」はストーリーが終盤でやや破綻していたという事実があるのだ。この連載当時、実は続編「第2部」の連載が予定され告知もされており、そちらで収束しようという心積もりがあったのかも知れない。或いはその続編での展開を考えて敢えてそうしたのか…。
しかし結果として「第2部」は制作されなかったので、手塚は大幅な改訂を施して「なかよし版」を完成する必要があったのだ。

<連載時オリジナル版の主な問題点>
Photo_4・フランツが自分の命を救
  うためヘケートと結婚す
  ることになったショックか
   ら、サファイアは「男に
  なってしまいたい(そうで
  ないと耐えられない)」と
  望む。ヘル夫人は好都
  合とばかりにサファイア
  に対し、女の心をもらう
  代わりに男の心を与え
  ようと約束する。
 (この時点ではサファイ
  アは女の心 しか持って
  いないためである。)
・賢く生まれ変わったプラ
  スチックがサファイアに
  王位を返還すると言い
  出したことで失望し「尨
  犬にでもなった方がまし
  だ」と愚痴るジュラルミ
  ン大公をヘル夫人は魔
  法で本当に尨犬に変身
  させてしまう。
  それと同時に男の心を
  ジュラルミン大公から抜
  き取り、サファイアに与えるのである。正当化する言い訳めいた台
  詞が付されてはいるが、幾らなんでもジュラルミン大公のような悪
 
辣な男の心がサファイアに入ってしまうなんて…!  違和感ありあ
 りだ。
・男の心を抜かれて尨犬になったジュラルミン大公はヘル夫人が死
 んだことで元の姿に戻るが、「男の心も女の心もない」はずである。
  それなのにキャラクターは全く変わっておらず、ブラッドの運んでき
  た矢傷の秘薬を強奪してプラスチックに与えてしまうありさまで、相
  当不自然。また物語(第一部)が終了した時点で、そんなジュラルミ
 ン大公が変わらず存命しており、サファイアを脅かす存在が解消さ
  れていない。
・何より、連載終了時点ではサファイアの中に男の心が残ったまま!
-この状態でとても話を終わらせるわけにはいかなかったのである。


<その他の連載時オリジナル版の現行版との主な相違点>
Eye_catch・本編のスタート時のサファイアは少女クラブ
  版と同じく12歳であったし、フランツとの出
 会 いも”謝肉祭”ではなく”復活祭”だった。
・ヘケートの指示で白鳥に変身したサファイ
  アのヴィジュアルは白鳥そのものではなく、
 バレリーナ風の人間の姿で描かれていた。
・海蛇島にはやはり海蛇がたくさんいてお妃
 とガマーを脅かすのだが、ガマーが体を張
 って退治してしまう!
・ブラッドとフランツが兄弟であることは明確
  に示され、本人たちにもサファイアにも伝
 えられる。
・北の王国において地下牢からサファイアを
  救出したのはフェリーベであっ
たが、現行
 版ではウーロン候となっている。また、フ
 ェリーベがウーロン候の妹という設定も現
 行版のみ。
・ケープの中に閉じ込められて怒ったフラン
 ツは、ビーナスを口汚く罵るのだが、現行
 版では王子であるフランツの品を失わぬ
 よう台詞が改訂されている。これが典型だ
 が、連載時オリジナル版に比べてキャラク
 ターはその性格付けが徹底され、明確化
 されるよう台詞が変更されている。
  (ビーナスの「愛は残忍なもの 愛はエゴイスティックで…」も元々は
 全く違う台詞であり、これは現行単行本で初めて登場したものであ
 る。)


Og001_2改訂によって海賊ブラッドの登場する部分がかなりカットされたことが伺える。連載時オリジナル版ではフランツとはまた違うタイプのブラッドにサファイアがやや心惹かれる様子がハッキリと描かれており、また海賊船に乗り込んだくだりやさんざしの森のできごと、海賊の仲間としてサファイアが処刑されそうになるあたりなどもかなり丁寧にストーリーが描かれていた。しかし、現行版ではそれらを大胆にカットしつなぎ合わせる改訂が行われている。

ブラッドがサファイアの幸せのためなら、と報われることのない自己犠牲を尽くすキャラクターであることは不変なのだが、改訂にあたり手塚はサファイア・フランツ・ブラッドを所謂”三角関係”からより一層無縁なところに置いた印象がある。

またヘケートが女の心をサファイアに返しにくるエピソードにおいても極めて印象的で”名シーン”と云えるものがあったりと、連載時オリジナル版は確かに瑕疵はあるものの、一方で見どころも非常に多いのである。

    ※左上画像は連載時オリジナル版のもの。見ての通りとても美し
      いコマなのだが、現行単行本では台詞の変更により別の表情
      が必要になったので惜しげもなく挿し換えられている。このよう
       に微妙な表情の違いにこだわり、実際描き分けられていること
      に、つくづく手塚治虫の凄さを感じる。


♪♪♪

「なかよし版」の見どころは…

■完全にアイドル!サファイア
Photo_4前述の通り、なかよし版ではストーリーの合間合間にサファイアのフォトジェニックなカットが随所に織り込まれている。まさにアイドルとして確立したキャラクターになっているのである。女性用のドレスを纏うシーンがたびたび出てくるのも、印象に残るであろう。
Og004_2また全く別の視点だが、連載時オリジナル版ではブラッドの海賊船に乗り込んですぐにナイフ投げの達人ジャックとの対決がある。このシーンでのサファイアの凛々しさ、凄みは全編でも特筆もので、こうしたところにもなかよし版ならではの”突抜け感”がある。

■真の愛を貫く好漢 ブラッド

一言で言って、カッコ良すぎる男だ。
海賊を統括するリーダーシップ、優れた剣の腕…武骨だが実直な男らしさ溢れるキャラクターなのである。
サファイアを深く愛し、自らを犠牲にしてでも彼女の幸せを願う。サファイアの愛が決して自分のものにならないと判っていても、である。愛し合うフランツと結ばれることがサファイアにとって一番の幸せであると思い、そのために全てを捧げるのだから…とても真似できない!

Photo連載時オリジナル版では、悪魔の娘と結婚することとなりシャルネ殿下に勘当されたフランツが「ブラッドはゴールドランドの王子である」という証明書を届けに来て、サファイアのこともブラッドに託し想いを断ち切ろうとする場面が出てくる。それでもブラッドは「サファイアの真の幸せは弟フランツと結ばれること」という思いに一切の影をも差し込ませない。
同じく連載時オリジナル版では、海賊の仲間としてサファイアを処刑しようと企むナイロン卿に捕えられ拷問を受ける場面がある。そこにサファイアが連れて来られて思わずブラッドに声を掛けるや、彼女を守るため「俺はあんたなんて知らねえ!出てってくれ!」と頑として言い放つのである。
そしてサファイアのために矢傷の秘薬を命懸けで届けて果てる、その最期までとにかく男らしい”漢”であった。

■サファイアをも凌ぐ美少女 ヘケート
3悪魔ヘル夫人の娘であるヘケートはサイドポニーの似合う美少女!
快活さが過ぎて奔放・粗野な面もあるが、悪魔なのに優しく真っ当な心根を持った魅力的な娘であり、サファイアを献身的に助けフランツと結ばせようと力を尽くす。当初は自由に遊べなくなるのが嫌でサファイアに協力していたに過ぎなかったのだが、やがてそんな次元を遥かに超えてサファイアの最大の支援者となるのである。

Photo_3連載時オリジナル版では、サファイアに女の子の心を返すシーンがとても素敵!「あなたは女の子として あの隣国の王子さまと愛し合う権利があるのよ それを奪った私のかあさんはひどいわ あなたは王子さまと結婚するべきだわ」とサファイアを諭し、追ってきたヘル夫人が危険度の極めて高いドクガの群れをサファイアへ放った時には、自らが受ける深いダメージにも躊躇なく炎へと変身し、ドクガを集め殲滅することでサファイアを救うのだ。美しい画像とも相まってとても感動的なシーンである。

Photo_44_2フランツに恋心を抱いてからもそれは変わらず、ブラッドと共通する真の愛を示す。その尊い愛の姿を悪魔の娘が示し、真逆の嫉妬に塗れたエゴイスティックな愛の姿を(最終盤で)女神ビーナスが示すという皮肉が興味深い。

連載時オリジナル版ではフランツへの想いを告白するシーンもあるヘケートの健気な最期のシーン…その哀しさは「リボンの騎士」全編の中でも白眉と云えるだろう。

■…なにをするつもりだ、フランツ?
Sweetest文字通り荒波に揉まれてきたブラッドの鋭さとは違い、幾らなんでもニブ過ぎるだろうと云われても仕方ない”王子さま”育ちのなかよし版フランツ。
さんざしの森で、亜麻色の髪の乙女がサファイアであると漸く判った彼が、頬を真っ赤に染めてはじらうサファイアに発した台詞は、どうも特に女性読者たちにあまり評判が宜しくないように見受けられる。^^)
些かHなニュアンスも匂わせかねないこの台詞だが、実は連載時オリジナル版~れお別冊版~現行単行本を通じて全く変わっていない。即ち手塚にとってこの台詞は完全なる”決定稿”だったのだ。私は上から目線のこの甘い台詞に、フランツの覚悟や宣誓も含まれているように感じ、そう悪くはないようにも思うのだが…やっぱりダメ?…なんだろうなァ。

■女剣士フェリーベの恋
Photo死の淵から復活したサファイアは記憶を喪失し、ビーナスの策略によって北の王国へと迷い込んでしまうが、そこで出会った腕自慢の女剣士がフェリーベである。フェリーベは自分の婿となる美麗な剣の達人を捜してウーロン候主催の武術大会に参加しており、サファイアを男と信じて惚れ込んでしまう。(因みにフランツと身近に接したのにフランツに惚れなかった唯一の女性である。)
そして強引に結婚を迫るのだが…。サファイアが実は女であると告白すると激しく悲しみ落込んだのに、それでもサファイアを守り無事に逃がすべく献身的に力を尽くすのだ。フェリーベもまた何とも”イイ奴”なのである!
尚、連載時オリジナル版ではトパーズ王国の王女という設定(後で実はただの平民だったと告白するが、それはおそらくサファイアに気を遣ってついた嘘であろう)、現行版ではウーロン候の妹(=北の王国の王女)という設定となっている。

♪♪♪

私の所有する「なかよし版」は以下の5バージョン。既述の通り、連載時のものと比較すると現行単行本は相当な改訂がなされている。

1.現行電子書籍版
Photo「手塚プロダクション版」と「講談社 手塚治虫文庫全集版」の2種類。「手塚プロダクション版」には連載時の扉絵が収録されておらず、その扉絵欲しさに「講談社 手塚治虫文庫全集版」も購入した次第。
テンポ良く読める一方、連載時オリジナル版の名場面・名カットというべきものも少なからず失くなっているし、かなりギリギリまで切り詰めているので、やや伝わりにくい部分があるのも事実。
しかし物語の核心によりフォーカスし、各キャラクターもより明確な性格付けとその徹底が図られていて、全体としての完成度は格段に高められている。
また、例えばジュラルミン大公がプラスチックの助命を願って自害という最期を迎えたり、ナイロン卿がプラスチックも射貫いてしまったのは事故であったりといったように、ストーリーの品格も更なる高みに達しているのである。

2.月刊てづかマガジン「れお」別冊版 (1971年)
Photo_2虫プロ商事が発刊した5巻から成る「リボンの騎士」単行本。B5の連載時と同じサイズで楽しむことができ、カラーページも新たに彩色されたものも含めかなり含まれていて、これはこれで貴重なもの。
既にほぼ現行単行本と同じ内容へと改訂されているが、女剣士フェリーベのエピソードがばっさりカットされて終盤の展開が急過ぎるし、ジュラルミン大公は尨犬に変わったままその後が不明で曖昧さを残す。また台詞の改訂に不充分な点も見られ、若干ながら齟齬も見られる。
カラーページ(4色及び2色)はとても美しく、現行単行本はもちろん連載時オリジナル版にもなかったフルカラーページ(連載第20回扉絵など)も楽しめる。

3. 別冊少女フレンド増刊版 (1967年)
Photo_2アニメ版「リボンの騎士」が放映中のタイミングに「総集編」として発行されたもので、別冊少女フレンド5月増刊号(前編)・6月増刊号(後編)の2冊から成る。
オリジナル版にかなりの改訂(コマをカットしテンポよく短縮するのが中心)を施してあるが、台詞はまだ確定されていない。ストーリーも未完で、ナイロンの矢を受けたサファイアの命が途絶えてしまい、チンクが神様にサファイアを蘇らせるよう懇願したところそれに応えて神の光が降臨した、というところで終わる。オリジナル版の終盤は収録されていない。この段階で手塚はなかよし版の終結部を固めていなかったことが判る。
表紙は新たなカラーイラストであり、表紙裏に他にはない彩色イラストがいくつか収録されているのが貴重。

4. なかよし増刊版 (1964-1966年発行、2009年復刻)
Box1Box2



















「なかよし版」連載中にその増刊として刊行された「なかよし版」最初の単行本。既に連載時オリジナルからはかなり改訂されている。
5巻まで刊行されたのだが、フランツが魔の山ハルツで魔王サターンと出会ったところまでしか収録されておらず、完結はしていない。
2009年の復刻版BOXでは別冊「アーカイブ」に(連載時オリジナル版での)その続き(縮刷版)を収録するとともに、扉絵コレクションなども収録している。
この版で貴重なのは他にはないフルカラー彩色の扉絵が1点あること。そして2巻以降の「これまでのあらすじ」のページにもフルカラー彩色としてはこの版でしか見られないイラストがかなり掲載されていることである。
尚、連載時オリジナル版にはなかった章表題が、この版から加えられるようになったのだった。

5.なかよし オリジナル版
Og「なかよし」連載当時、雑誌掲載されたままのオリジナル版を「復刊ドットコム」が初版限定再発刊したもの。カラーページ(4色/2色)ページもデジタルマスタリングにより当時のまま掲載され、オリジナルの色彩が堪能できる。また当時の連載は別冊附録となることも多かったが、これも忠実に別冊として復刊するという凝りようなのだ。
カットされたエピソードが読めるのはもちろん、現行単行本では見ることのできない名シーンや魅力輝くサファイアの姿を多数見ることができる。ファンにとってその価値の高さに疑う余地はないであろう。

♪♪♪

Og結論的に云うならば、「なかよし版」は「リボンの騎士」の究極の完成形ではない。やはり「リボンの騎士」は手塚の関わった14年-いや、改訂を含めればそれ以上の期間だが、「リボンの騎士」の全てのバージョンから成り立っているのだと思う。

柱となるストーリーやキャラクター…即ち思想は不変である。だからどのヴァージョンにも説得力が備わっている。正直、私自身もどのヴァージョンも大好きである。

私はこの「リボンの騎士」という作品に出会えて、サファイアというキャラクターを愛することができて本当に幸せに思う。

(Revised on 2016.10.29.)

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コメント

「なかよし増刊版」(単行本/2009年復刻版)を入手したのを受け、2016.9.10.付で本稿を改訂しました。
連載中に刊行されているというのに、もう既にかなりの改訂が行われていることが確認できました。
手塚治虫という漫画の神様、噂通りです!

投稿: 音源堂 | 2016年9月11日 (日) 22時50分

なんだか非常に強い

 愛

を感じますねぇ(笑)。まぁ、私も無縁ではないので、読んでみたいと思いました。よかったら推薦本を教えてください。

投稿: 江戸川乱釣 | 2016年9月18日 (日) 23時18分

うわー乱釣さんお元気ですか-^^)
ここのところ所属する楽団の活動が相当忙しくなってまして、今年これまで釣行できたのは1回だけ…で、釣りの記事が書けずにこのような記事を。^^;)

現在新品がどこでも買えるものだと「リボンの騎士(手塚治虫文庫全集1-2巻)」が表紙絵も収録されていてオススメです。(電子書籍版もあります。)
紙の本の中では(今だと流通在庫か中古になってしまいますが)「手塚治虫漫画全集」版が手塚治虫がこだわり抜いたという品のある装丁で素敵です。
良かったら「リボンの騎士-少女クラブ版-(手塚治虫文庫全集)」も読んでみて下さいね!

本稿で伝えたかったことを感じていただけたようで、本当に嬉しく思います。有難うございます!

投稿: 音源堂 | 2016年9月19日 (月) 09時20分

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