のだめカンタービレ #20
この「のだめカンタービレ」20巻はLesson113-118を収録。この傑作も音楽でいえばいよいよ終楽章を迎え、それに相応しく一層深みとダイナミックさを増し、物語は大きく動いてきている。
※各回の内容の詳細は、過去記事をご覧下さい。
一つは、のだめとピアノ協奏曲ト長調/M.ラヴェルとの出遭い。
一聴して惚れ込んだのだめはこの曲の演奏を切望、これで「のだめの目標=真一との共演」に具体的なヴィジョンが定まった。
清良・ターニャ・ユンロンが挑んだカントナ国際コンクールでは音楽の厳しさとそれを超えた「音楽」の夢や意味とともに、独り取り残されたのだめの焦燥が深く描かれた。
そして、そのコンクール本選はのだめに”運命の曲”を発見させることともなったのだ。「見つけた」ことに歓喜して瞳を輝かせ、文字通り躍り上がるのだめが実に愛らしい。
もう一つは、のだめがいよいよ「音楽に正面から向き合う」ことの真の意味を知り、その努力に一心に向かって、演奏がオクレール先生にも認められるという結果を出したこと。のだめの音楽が更に高次元に達したことを示すものだ。
これには、変わらない現状とやっと見つけた”運命の曲”(=ラヴェルの協奏曲)を先にRuiが真一と共演してしまうという現実に焦燥極まったのだめを、献身的に(しかし厳しく)サポートした真一の存在があった。
音楽を通じて単なる恋愛を超えた二人の関係も、さらに上の次元に進んでいるのである。
♪♪♪
真一とのだめのSweetな恋愛は磐石。音楽に夢中になるあまり彩子を放ったらかしにしたあの真一が、ヴィエラ先生の下でオペラを学ぶチャンスを捨ててまで、のだめに寄り添った暫しの”合宿”生活。
レッスンや楽曲アナリーゼはもちろん、食事や身の回りの世話までも・・・。のだめのことを心配する真一は何だか可愛いらしく、Lesson118で自然に口づけを交わす二人の姿はとても印象的。
・・・でも、私としては何といってもLesson116のシーンが最高だと思う。
焦燥からふさぎ込んだのだめに対して、ぶっきらぼうに声を掛けた真一。泣きながら飛びつくのだめ-。
「もう焦るなとは言えないのか」の独白とともに、真一はそれを確りと受け止め、強く抱きしめる。
ここまで真正面から、のだめが真一に甘え、また真一がのだめを受け止めたことがあっただろうか。殊にあのクールな真一が・・・と思うと、本当に感慨深い。
(そうそう、私の大好きな黒木くんも、紆余曲折を経てターニャといい感じ。二人の想いが通じ合ったわけではないけれど、不器用なこの二人を見守っていると、こちらまで柔らかな気持ちに。)
♪♪♪
一方で、真一は冷静でもあった。
のだめの音楽、成長は認めつつ安易に「終わらせ」てはいけないという強い想いを抱く。それが峰の提案(=R☆Sオケでののだめとの共演)却下である。この真一の想いは、おそらくオクレール先生の考えとも一致していよう。
ラヴェルでRuiが先に真一と共演すること自体も、考えてみればのだめにとってはプラスかもしれない。優れたクラシック作品はさまざまな演奏者がそれぞれに素晴らしい演奏を残し、それぞれに聴衆に感銘を与え得るだけの内容を持っており、「ラヴェルの協奏曲」もまさにそう。それだけの作品に挑むということなのだ。
だから、Ruiとはまた違った”のだめのラヴェル”が演奏され、聴衆に感動をもって迎えられることを、心から望みたい。
♪♪♪
次巻以降に収録される足下の展開は、ますます緊張を高めている。
先行するRuiのラヴェルを、のだめはどう聴くだろうか?
遂に発せられたオクレール先生のゴーサイン!のだめは結果を出せるだろうか?
いよいよもって、目が離せない「のだめカンタービレ」である。
| 固定リンク

コメント
こんばんは!20巻、内容を知っていても発売は超楽しみ。そして、いろんな楽しいところが盛りだくさんの巻だなって思っていました。Lesson116のご指摘の場面は、あたしも、同じ感想を持っています。あのシーンは大好きです。実は、Lesson116が発売になった頃はあたしはいろんな意味で私生活でへこむこと続出でした。で、のだめのマネをしてみました、が、、、(布団をかぶって、、、)旦那は千秋にはなってくれませんでした(爆笑)あたしがマネをしているのは気付いていたらしいんですけどね。
って脱線してすみません(爆笑)
Lesson118の、コミック版の表紙はどう思われました??あたしは、本誌では別々だけど、本当はつながっているあの絵がきちんとつなげられていたのに感動しました。
チョコチョコはいってるイラストとかも笑えて嬉しかったデス、、、。
(とくに、最後の「バラとプルトニウム」を読んでるのだめがかわいい、、、、。
♪♪♪
Lesson121のレビュー、まだやっていませんが、事情でお休みになってしまうかもしれません。
体調的にパソコンを開けない、長時間見られない日が続いていまして、、、。のだめの事を書くのは楽しいので、書きたいのですがLesson122と一緒に、、、とかになってしまうかもしれません。(詳しい事情は自分のブログに書きますので、良かったら見に来てください。)
投稿: なつ | 2008年3月14日 (金) 23時16分
なつさん、有難うございます。
なつさんトコ、実は結構頻繁に伺ってますよ。ご体調は如何かなとか、最近はどの曲にハマってらっしゃるのかなーとか。ですから、また程なく伺わせていただくと思います。どうか、ご自愛下さいね。
Lesson118では、連載時とは違ってもう一度Lesson117の表紙を掲載して一枚絵にしてくれてましたよね。所長の配慮には本当に感謝!です。
♪
このブログでは、毎回結構入れ込んで感想を書いてしまっているので、コミックスの感想はまた違ったものに・・・と思って書きました。でも(当たり前ですが)ツボが変わるわけでもないので、なかなか難しいですね。^^;)
♪
ところで、このコミックス20巻発売と同時に、"ラヴェル ピアノ協奏曲"を検索して「本館」のほうにお越しになる方の数が、もの凄い勢いになってます。「のだめ」って本当に影響力大きいんですねー。
投稿: h-ongendo1964 | 2008年3月14日 (金) 23時58分
先日は当ブログにコメントありがとうございました。
私もこちらでのコメントデビューさせていただきます
20巻、発売したんですね!!
うかつにも発売する事をまったく知らなかったので
h-ongendoさんのおかげで買いそびれずに済みます。
うーん、とっても楽しみな一冊と言う感じです。
早速明日にでも買いに行ってきます。
投稿: むう | 2008年3月15日 (土) 19時05分
>むうさん
コメントをいただき有難うございます!20巻も記事の通りとってもイイですよー!そして、足下の展開もぐいぐいキテます!
引続き、頑張って綴っていきますので、今後とも拙ブログを宜しくお願い致します。
投稿: h-ongendo1964 | 2008年3月15日 (土) 22時19分
はじめまして、真昼と申します。
こちらのブログは実際に音楽に携わってる人ならではの見方があってとてもおもしろいです。楽しく読ませてもらっています。
のだめ20巻が発売しましたね。
L116の峰と千秋は男の友情って感じですごく良かったです。千秋は人の良いところを掬い上げるのが上手です。でも掬い上げられてる峰もエライんですよね。
千秋の励ましがあれだけ峰に効いたのは、千秋が峰の個性や度量の大きさを認めて尊敬してるからだと思います。13巻の「俺も信じよう このオケも あの人も」と同じですね。日本編と合わせて読むと、二人の友情の軌跡が追えて感動が倍増しです。
このエピソードに「のだめカンタービレ」と言う作品の優しさを感じました。
千秋が見つけた「たとえ(中略)この時間が無駄になることは絶対ない」というテーマは、繰り返し出てくる重要なものだと思う。でもはっきり言っちゃうと彼らには少なくとも海外にいけるだけの才能があるわけで(もちろん努力もしてるんですけど)。多少僻みたくなる部分もあるんです。
でも峰が入るとこの言葉に厚みが出てくると思います。峰は桃ヶ丘内でもせいぜい中堅がいいところ、千秋の足元にも及ばない存在ですよね。でも、そう見える峰にも千秋が尊敬するに足るナニかがある。峰が懸命に努力し、感じてきたことが無駄ではないのがとても嬉しいです。
彩子やRuiを安易なライバルキャラにせず、彼らを一個の人間として挫折や覚悟をキッチリ描いているのと同じものを感じました。
この巻はのだめと千秋について書くのが正しいんだろうと思うんですけど、なんだかKYなコメントになってしまってすみません。
投稿: 真昼 | 2008年3月23日 (日) 20時57分
真昼さん、コメントを有難うございます。いや、私も峰のエピソード(そして峰自体も)大好きですよ。
「のだめカンタービレ」では早々の2巻(Lesson12)に
あの人はきっと
音楽を
人を尊敬してて
それが自分に帰ってくる
-というシュトレーゼマンの指揮に対する千秋の独白が記されていますが、本作は終始この思想に貫かれていますよね。この思想に私は深く共感しますし、これに基いて所長の繰り出すエピソードに、いつも暖かい気持ちにさせられるのです。
投稿: h-ongendo1964 | 2008年3月24日 (月) 00時22分